2023 Fiscal Year Research-status Report
高分解能ラマン顕微鏡の開発と生体機能イメージングへの応用
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22K12810
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
名和 靖矩 関西学院大学, 生命環境学部, 講師 (20753057)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | ラマン散乱顕微鏡 / 高分解能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ラマン散乱顕微鏡の高分解能化と、生体機能のより詳細な解析を目的とする。そのため高分解能かつ高速な顕微鏡技術を開発・実装し、生体試料の計測を行う。微小空間で生じる生体現象を高い波数分解能で計測することで、近接する分子からのラマン散乱信号を分離・識別することを目指す。 本年度は、昨年度に試作した装置に二つの自動回転ステージを導入し、焦点位置をx-yの二次元方向に走査できるイメージングシステムを構築した。本装置において、ラマン散乱スペクトルが検出できることを確認している。焦点位置の走査とラマンスペクトルの取得及び保存を同期して行うための制御ソフトを自作し、イメージングが行えることを確認した。また、本装置は簡単なレンズの追加と取外しを行うことにより照明パターンを変更する事ができ、様々なイメージング方法が適用できる。シリンドリカルレンズを用いることで、ライン状の照明パターンが形成でき、照明されたライン状の領域からのラマン散乱を同時に検出できる。イメージングを行う際は、ラインに対して垂直な方向に照明パターンを走査するだけでよいため、高速観察が可能である。通常のレンズやマイクロレンズアレイを用いることで、単一/多焦点での照明も可能である。現在は、エタノールやビーズ試料の観察を行い、信号対雑音比および空間/波数分解能の評価を行っている。信号のスループットが不十分であり、波数域や試料によっては信号対雑音比を向上する必要があるため、高分解能化技術の導入を試みるとともに、表面プラズモンを利用した信号増幅効果の利用を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
自身の所属異動により、当初予定していた高分解能化技術を実装するためのイメージング装置の構築、制御/解析ソフトの作成、および信号対雑音比の改善に時間を要しており、原理検証が計画より遅延しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
構築したイメージング装置を用いて高分解能化技術の実装及びアプリケーション開発を進める。まずは蛍光信号による原理検証実験を進め、ラマン散乱イメージングへの応用を行う。また、表面プラズモンによる信号の増幅効果を利用することで、感度の向上を試みる。
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Causes of Carryover |
使用しきれなかった端数が生じた。次年度の物品購入時に使用する予定である。
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