2023 Fiscal Year Research-status Report
軟骨内骨化を誘導する細胞外マトリックスの解明と新規人工骨作製の基盤確立
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22K12814
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
根岸 淳 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (60722634)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 細胞外マトリックス / 脱細胞化組織 / 軟骨内骨化 / 加圧成型 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、哺乳類の胎児期に進行している骨形成様式である「軟骨内骨化」を誘導する細胞外マトリックス(ECM)の解明と人工骨への応用を目指し、胎児ブタおよびシカ袋角の脱細胞化組織粉末の作製と特性解析に取り組んだ。 脱細胞化組織は原料特異的なECM組成や構造を有するが、形状も原料に依存するため、用途に合わせた形状の脱細胞化組織由来の足場材料の作製が困難である。本研究では、脱細胞化組織粉末のブロック化手法の開発に取り組み、冷間等方圧印加(CIP)を用いて任意のサイズの連通孔を有する多孔質ECMブロックの作製法を確立した。本手法により、脱細胞化組織に利点である原料特異的ECMを有し、かつ、任意の形状の人工骨の作製が可能になると考えられる。また、多孔質化していないECMブロックや脱細胞化成体ブタ骨髄には播種された細胞が内部に浸潤しなかったが、多孔質ECMブロックでは内部まで細胞が浸潤し接着することを確認した。また、脱細胞化組織の原料により多孔質ECMブロック内での細胞増殖に差が認められ、多孔質ECMブロックが原料組織によって細胞に与える影響が異なることを明らかにした。 哺乳類で最も盛んに軟骨内骨化が進行しているシカ袋角の脱細胞化に取り組み、高静水圧法によって脱細胞化シカ袋角作製が可能なことを確認した。また、組織学的染色およびSDS-PAGEにより、採取部位によって脱細胞化シカ袋角のECM組成および構造が異なることを明らかにした。さらに、脱細胞化成体ブタ骨組織とは異なり、脱細胞化シカ袋角には細胞が浸潤しやすいことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、CIP成型による脱細胞化組織粉末のブロック化に取り組み、任意の孔径の多孔質ECMブロックの作製条件を確立した。また、含浸法を用いることで、多孔質ECMブロック内部まで細胞を導入可能なことを明らかにした。さらに、脱細胞化シカ袋角組織の作製と特性解析および細胞培養基材としての有用性を明らかにしており、本研究が概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、脱細胞化胎児ブタ骨組織粉末および脱細胞化シカ袋角粉末から多孔質ECMブロックを作製する。種々の条件で作製した多孔質ECMブロックに間葉系幹細胞を導入し、軟骨内骨化による骨形成評価を行う。多孔質ECMブロックの特性と骨分化誘導能の関係性を解析し、軟骨内骨化を誘導するECMの解明および多孔質ECMブロックと間葉系幹細胞からなる人工骨の応用可能性を明らかにする。
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Research Products
(3 results)