2022 Fiscal Year Research-status Report
吸収性高分子バイオマテリアルのノンラベル体内分解・吸収挙動解明
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22K12815
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
橋本 朋子 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (10589930)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岡 哲二 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (50243126)
玉田 靖 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (70370666)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 吸収性高分子バイオマテリアル / ノンラベル検出 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、吸収性高分子バイオマテリアルが生体内で分解・吸収された後の分解フラグメントの体内挙動や生体への影響把握を目指し、体内での吸収性高分子バイオマテリアルのフラグメントをノンラベルで直接検出し、高分子の分解・吸収パターン、周辺組織での分布、炎症などとの関連性、および体内での移行性と、高分子材料物性との間の関連性解明に挑戦する。 初年度は、ポリ-L-乳酸(PLLA)、および乳酸-グリコール酸共重合体(PLGA)のクロロホルム溶液を用いて、処理条件を変えてフィルムを作製した。得られたフィルムを全反射測定法(ATR-FTIR)スペクトル測定に供し、表面近傍の分子構造解析を行い処理条件と結晶性などの関係性を調べた。 in vitro生分解試験として、作製した結晶性が異なるPLLAフィルム、PLGAフィルム、およびPLGA糸をリン酸緩衝液や培地中に浸漬し、所定日数経過後にサンプルおよび上清を回収した。回収したサンプルは重量測定し、分解・溶出した高分子が含まれる上清は質量分析による測定を行った。あわせて回収した同上清を細胞に滴下し所定日数培養し増殖への影響の有無について、また増殖に与える含有フラグメントとの関係性を調べた。これらの結果より、異なるサイズの分解フラグメントは細胞に異なる影響を与える可能性が示唆された。 結晶性が異なる一部のPLLAフィルム、PLGAフィルムを、SDラット背部への埋入試験に供した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
吸収性高分子バイオマテリアルの低分子量領域でフラグメントパターンを検出できている。また、異なるフラグメントサイズが細胞増殖に与える影響などについて知見が得られており、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きポリ乳酸などのポリエステル系を用い、in vitro、in vivoでの分解・吸収試験と、分解フラグメントが与える細胞・組織への影響把握について、検討を進める。あわせて、天然高分子であるシルクフィブロインをサンプルとして用いた評価も進める。
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