2022 Fiscal Year Research-status Report
眼オルガノイド白内障モデルを用いた白内障治療薬ナノ結晶点眼液の有効性検証
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22K12817
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
馬場 耕一 大阪大学, 大学院医学系研究科, 寄附講座教授 (00436172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 進 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (00536956)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ヒトiPS細胞 / 水晶体 / 白内障 / 薬物療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究テーマは眼オルガノイド白内障モデルを用いた白内障治療薬ナノ結晶点眼液の有効性の検証である。白内障は遺伝や加齢等が原因となり発症する疾患であるが、加齢が主たる原因とされる。現行の白内障の治療法は、混濁した水晶体を眼内レンズに置き換える外科的治療法しか存在しない。その為、新たに薬物療法の開発ができれば治療方法の選択肢を広げることができ画期的なこととなる。その実現に向けて、ヒトの細胞を用いた効果的な評価系の構築が必要である。我々はヒトiPS細胞を用いた水晶体の作製にあたり、我々の研究グループが独自開発した眼オルガノイドの作製法、SEAM法を用いた。培養条件を整えることで、従来的培養方法よりも、水晶体サイズと水晶体発生率を高めた水晶体オルガノイドを作ることができた。ところで生体での水晶体の発生は、後に角膜となる表皮外胚葉と後に網膜となる眼胞が接触し形成される水晶体プラコードから起こる。そのプラコードから水晶体上皮細胞および水晶体上皮細胞が分化した水晶体線維細胞が規則性をもって発生し水晶体が形成される。この度我々は水晶体プラコード形成から水晶体発生・成長において重要な働きをする遺伝子に注目した。SEAM上の水晶体形成においてPCRや免疫染色等により当該遺伝子及びタンパク質の発現を確認した。また本遺伝子は水晶体上皮幹細胞とも関わりがあると推測しており、水晶体上皮幹細胞と白内障との関係性を新たにする知見を得られる可能性も考えている。また白内障治療薬の候補となるナノ結晶点眼液の最適化についても検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト水晶体における白内障の評価モデルの構築が必要であるが、今現在において、ヒトiPS細胞から水晶体オルガノイドを効果的に誘導できる方法の検討が比較的進んでいること。水晶体オルガノイドの形成において新たに注目した関連遺伝子・タンパク質の解析を行っていること。ナノ結晶点眼液の開発の最適化条件の検証を行っていること。これらのことよりおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、ヒトiPS細胞から水晶体オルガノイドを効果的に誘導できる方法の検討と最適化を進める。また水晶体オルガノイドの形成において新たに注目した関連遺伝子・タンパク質の解析を進める。ナノ結晶点眼液の開発の最適化条件の検証を進める。
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Causes of Carryover |
研究費が申請額よりも減額されていることから研究費の使用を再検討し研究進展を見据えながらの使用となった。その為申請時の予定よりも使用額が少なくなった。今後の使用計画については翌年度分として請求した助成金と合わせ、研究の進捗と見合わせながら、執行していく予定である。
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Research Products
(1 results)