2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K12820
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
有馬 祐介 九州大学, 先導物質化学研究所, 准教授 (90402792)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 細胞表面修飾 / 細胞識別 / 核酸-リン脂質複合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
多様な細胞で構成される細胞社会を理解するうえで,それぞれの細胞種を識別し解析することが重要である。しかし,膜タンパク質以外の細胞表面分子について,その発現量や分子種を指標に細胞を生きたまま識別する方法は確立されていない。 申請者が生細胞表面の改変に用いてきた核酸-リン脂質複合体を様々な細胞に修飾したところ,細胞種によって修飾効率が大きく異なることを見出した。本研究では,核酸-リン脂質複合体による細胞表面修飾における細胞種依存性に着目し,細胞識別プローブへの応用を目指す。核酸-リン脂質複合体の至適な分子設計,核酸-リン脂質複合体の修飾に影響を与える細胞表面環境を明らかにする。 本年度は,細胞識別プローブとしての核酸-リン脂質複合体の分子設計を目的に,異なる核酸構造を有する核酸-リン脂質誘導体を合成し,細胞表面修飾への影響を調べた。核酸構造によっては細胞種依存性が見られず,核酸部が細胞識別に重要な役割を担っていること,細胞識別に適した核酸構造を明らかにした。また,細胞種依存性をもたらす細胞側要因を明らかにするため,各種細胞表面環境が表面修飾に及ぼす影響を調べた。従来型の核酸-リン脂質複合体で修飾できない細胞を用いて調べ,修飾阻害の要因を特定することができ,その要因に関わる分子種を絞り込むことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
異なる核酸構造を有する核酸-リン脂質複合体を合成し,それらを用いた細胞表面修飾を通じて,研究の第一目的である細胞識別プローブとしての分子設計に関する情報を得ることができた。さらに,細胞表面修飾に影響する細胞側要因の探索にも取り組み,修飾阻害要因の特定およびそれに関わる分子種候補を絞り込むことができた。細胞識別プローブの分子設計へのフィードバックにもつながる重要な情報が得られた。 以上,当初の計画に沿った結果を得ることができており,この結果をもとに次年度も研究を発展させていく。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞表面修飾に影響する分子種を明らかにするため,候補分子の発現量評価およびその細胞種間の比較を行う。また,候補分子を欠損させた細胞に対して核酸-リン脂質複合体の表面修飾を行い,表面修飾への寄与を明らかにする。 さらに,設計した核酸-リン脂質複合体による細胞表面修飾を様々な細胞種に対して行い,細胞識別プローブとしての有用性を調べる。
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Research Products
(5 results)