2022 Fiscal Year Research-status Report
Exosomal miRNAによる関節疾患に対する新規治療法の開発
Project/Area Number |
22K12827
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
前原 美樹 東海大学, 医学部, 特定研究員 (40794102)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | エクソソーム / miRNA / 再生医療 / 関節治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、関節疾患の治療に有効なmiRNAを効率的に内包したExosome治療薬開発の可能性を探索することである。今年度は、これまでに治療薬候補として同定されている2種類のmiRNA(miR-141-5p, miR-4700-5p)の作用メカニズムを明らかにし、標的遺伝子を同定する計画であった。 まず、この2種類のmiRNAの標的細胞に対する作用を標的細胞と想定される軟骨・滑膜細胞に作用させた際の、軟骨異化遺伝子群に対する抑制効果について確認したところ、miRNA-141-5pに関しては軟骨変性の誘導抑制効果を有し、さらにmiR-4700-5pに関しては同様の効果に加え炎症の抑制や血管新生抑制等の関節内環境改善効果をもたらすと考えられ、miR-4700-5pについて、より高い治療効果が期待できる可能性が示唆された。 miR-4700-5pのターゲット遺伝子の同定にあたっては、RNA immunoprecipitation (RIP)-AssayによるmRNA-miRNAのペアリング解析により、生化学的な検証を実施し、4つの標的遺伝子候補を特定した。 さらに、当初の計画では2年度目に実施予定であった、特定のmiRNAを効率的に内包したExosome治療薬の開発研究に関し、Exosome産生細胞の検討に関する基礎データの取得、Exosome内にmiRNAを搭載する方法についての検証などにも先行して着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年度目の課題であった、生化学的データに基づいた標的遺伝子の同定を達成した。計画では、年度内にルシフェラーゼレポーターアッセイによるmRNA翻訳抑制の確認までを実施する予定であったが、実験系の確立に時間を要し、未実施である。一方で、2年度目に実施を予定していた特定のmiRNAを効率的に内包したExosome治療薬の開発研究については、Exosome産生細胞の検討に関する基礎データの取得、Exosome内にmiRNAを搭載する方法についての検証などに先行して着手することが出来た。このため、研究全体としては計画に沿って順調に進行していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2年度目は当初の計画に従い、特定のmiRNAを効率的に内包したExosome治療薬(改変Exosome)の開発研究を進める。具体的には、Exosome産生細胞と、改変Exosomeの作成方法を決定する。さらに、1年度目に実施予定であったルシフェラーゼレポーターアッセイによるmRNA翻訳抑制の確認試験について早急に実施し、miRNAによる翻訳抑制の確認できたmRNAに対し、改変Exosomeを用いた翻訳抑制が可能かを確認する。最終年度には、計画書に記載の通り、関節疾患モデル動物を使用したExosome治療薬(改変Exosome)による関節治療効果を、in vivo実験系で評価する予定である。
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Causes of Carryover |
RIP-Assayについて、当初想定していたよりも予備検討や実際のデータ取得がスムーズに行うことが出来たため、キットや抗体などの購入費を想定よりも少額に抑えることが出来た。また、年度内に予定していた国際学会への参加がキャンセルとなったため、外国旅費に未使用額が生じた。来年度以降は、プラスミドベクターの発注や、in vivoによる治療効果の検証を実施していく予定であるため、これらに費用を充当する予定である。
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