2022 Fiscal Year Research-status Report
細胞死抑制技術によるハイバイアビリティ細胞凝集体の創製と組織工学への応用
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22K12830
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
神吉 けい太 岡山理科大学, 生命科学部, 准教授 (10516876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩井 良輔 岡山理科大学, フロンティア理工学研究所, 講師 (60611481)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 軟骨細胞 / 細胞死 / 立体組織 / 細胞分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
体外で細胞の集合体である組織や臓器を作り出す組織工学は、再生医療や創薬をはじめ幅広い分野での応用が期待されている。大量の細胞を用いて大型の組織を作ることは移植治療の向上や臓器構築を目指すうえで理想であるが、脈管系の内装を伴わない限り酸素、栄養、老廃物の代謝が滞り、細胞凝集体は細胞死を起こし死んでしまう。したがって脈管系構築までの期間、構成細胞の生存率を高める技術が組織工学分野におけるブレークスルーとなる。 本研究では細胞内エネルギー代謝の改変により、低栄養、低酸素の環境でも細胞を生存させる機構を利用し、細胞凝集体内の細胞死を回避することでより生存率の高い細胞凝集体を創り出すことを目的としている。 研究代表者はこれまでにポリフェノールのひとつであるResveratrol(RSV)が、筋芽細胞においてグルコース欠乏による細胞死を抑制する効果を見出している。R4年度はラット軟骨細胞を用い、同様の効果が得られるかを検討した。ラット軟骨細胞の生存に関わる因子を検討した結果、酸素欠乏は細胞生存に影響が少ない一方、グルコース欠乏は顕著に細胞死につながることが分かった。そこで、軟骨細胞をRSVで処理すると低グルコース環境における細胞死が抑制されることが明らかになった。またRSV処理により解糖系遺伝子の発現抑制と細胞内へのグルコース取込みが減少することが分かった。またRSV処理は軟骨分化マーカーであり、軟骨基質を構成するCOL1A1, COL2A1の発現を有意に増加させた。このことから、RSV処理により軟骨細胞立体組織の細胞生存と組織サイズを高める可能性が示唆された。次年度は実際に立体組織において細胞生存を高める効果が実証できるか、研究を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
軟骨細胞においてRSVによる細胞死抑制効果を確認できた。そのメカニズムとして解糖系抑制によるグルコース消費の抑制が確認できた。おおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は立体組織作製に進むとともに他の組織細胞でも検討を始める。立体組織における細胞生存、細胞死の検出に注力する。また応用範囲を広げるため、脂肪細胞や筋細胞など他の組織細胞においても検討を進める。特に筋細胞においてはい共同研究者とともに腱や血管といった要素を含んだ複合型筋組織の構築に着手する。
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Causes of Carryover |
軟骨細胞以外の他組織への応用について、次年度に持ち越したため、次年度使用額が生じた。R5年度において使用予定である。
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Research Products
(1 results)