2022 Fiscal Year Research-status Report
術中の医師の動きを基に仮想空間で機能や形状を最適化する小児外科用ロボット術具設計
Project/Area Number |
22K12835
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
川村 和也 千葉大学, フロンティア医工学センター, 助教 (50449336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
家入 里志 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (00363359)
三浦 智 東京工業大学, 工学院, 講師 (70724566)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | シミュレーション / 術空間再現 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,仮想空間を利用して小児外科手術を支援するロボットの大きさや形状,動作方法などを検証することを目的としている.小児内視鏡手術は,成長後の障害をきたしづらい手段として症例数が増加する中,微細な動作を可能とするロボット術具の導入が期待されている.しかし,解剖や疾患の特異性から機器導入に伴う課題が多く,その性能を十分に活かす機能や形状の設計が難しい.特に,手術特有の環境に適応しつつ使いやすさを維持することが難しい.本研究では,開発を進めている術空間再現シミュレータの機能拡張,医師の操作に基づく設計値の最適化,この最適化の効果検証を順次進めている. 本年度は,シミュレータの機能拡張として,環境構築を実施するために必要な機材等の購入を進めつつ,各機能の実装を進めた.本研究課題で対象とする食道閉鎖症根治術は術野の狭さ,手技難度の高さが課題であるため,ロボットの大きさや構造を検証できる環境構築が必要となる.そこで,小児外科医である家入教授(鹿児島大)と協力し、仮想化技術構築に向け,その症状や手技の特徴を再現できる検証環境を構築した.また,一般的な横方向の針掛けに加えて,本手術特有の奥行方向の針掛け動作など手術に即した検証ができる環境となるように,針掛け動作についても実装と動作検証を進めた.ロボット設計時に使用するソフトウェア(CADソフトウェア)との連携を目指し,仮想環境との連携を検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,術空間ならびに手技の仮想環境構築を行い,小児外科用手術支援ロボットの構造を検証・評価ならびに最適化する環境の構築を行った.進捗状況として,仮想環境において先天性食道閉鎖症の手技を評価するための,柔軟体を用いた円筒形状の再現ならびに梁架け動作による挙動の検証を行った.挙動の検証を実施したところ,柔軟体のモデルの細かさを上げると計算処理への負荷が大きくなり,時間遅れが生じる傾向が確認できた.そのため,ロボットの機構や動作を検証する環境機能の検証を重点的に行うこととした.共同研究先での検証は次年度に実施することとしたが,仮想空間の構築ができたことから,おおむね順調に進んでいると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,医師の操作に基づく設計値の最適化に向け,小児外科医の協力のもとで,動作の評価値(鉗子と患部や周辺臓器との干渉量,鉗子の動作範囲,左右の鉗子同士の干渉量)の計測,視野情報の評価値(鉗子先端部の遮蔽量,作業空間に対する視野阻害量)の計測を行う.ロボットの設計値としては,自由度数,関節種別,関節間距離,機構形状,トロカールポートの配置位置について検討する.計測結果から設計値と評価値の関係を最適化計算することで,動作量と視野範囲がどの程度影響しているのかを明らかにする.この導出結果を適用した機構を医師に操作してもらい、腕にかかる負担として両腕の移動量、手技への集中度合いとして視線移動量といった操作負担を計測ことで評価する.これをもって、操作性改善への効果を検証するとともに、食道閉鎖症根治術へ適用する手術ロボット設計指針を検討する.実験中の動作等を計測するための機材購入を予定しており,その準備が整い次第,計測実験を開始する.また,実際に操作する実験を行うにあたっては,共同研究先等での実施を予定している.
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Causes of Carryover |
今年度は,環境構築を中心として実施した.構築した環境に関する検証に時間を要したため,共同研究先での検討については,次年度を行うこととした.当該差額はこれに伴うものであり,次年度に実施予定の実験等にて使用を予定している.
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