2023 Fiscal Year Research-status Report
リアルワールドデータ品質評価指標の構築と信頼性向上のための対策
Project/Area Number |
22K12885
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山田 知美 大阪大学, 医学部附属病院, 特任教授(常勤) (60363371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 理宏 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70506493)
中山 貴寛 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 乳腺内分泌外科主任部長 (30527700)
吉波 哲大 大阪大学, 医学部附属病院, 特任助教(常勤) (30894240)
倉上 弘幸 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 特任講師 (20738421)
山田 知明 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 特任助教 (70898329)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | リアルワールドデータ / 品質評価 / クリニカルデータマネジメント / 自然言語処理解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
医薬品開発におけるデータマネジメントは、データが生成される前に品質マネジメント計画を立てリスクに備えるが、この手順はリアルワールドデータ(RWD)を用いる研究には通用しない。本研究では、切除不能又は転移性HER2陽性乳癌に対するグローバル第2相治験の対照群として承認申請資料に引用された KBCSG-TR 1917 研究(治験と同様の手順書を用いてリソースを割いた研究)のデータと、純粋に二次利用の立場から抽出した診療録データ(すなわちRWD)の両者を比較することにより、RWDの品質を判断するための指標・基準の構築、解析結果の信頼性を向上させるための手法の開発、および臨床研究に応用する際の限界を明らかにする。 2023年度は、3施設(大阪大学医学部附属病院、大阪国際がんセンター、東京医科歯科大学病院)のRWDに対して、KBCSG-TR 1917研究の適格基準に合致する症例の抽出可能性を検討した。選択基準1「乳がんと診断された女性患者でかつT-DM1の使用歴があり、T-DM1の初回投与日時点で20歳以上の患者」を2014/1/1から2022/12/31で抽出すると、対象患者は155例であった。このうち、選択基準2「切除不能又は転移性、病理診断によりHER2陽性の乳癌であることが確認されている者」については、「転移性」と「HER2陽性」に分けて検討した。「HER2陽性」については、①病理レポートから「検索語」を用いて抽出する方法、②ICD10病名から抽出する方法、③YJコードを用いて「抗HER2薬の使用有無」から推定する方法の3通りで検討し、「転移性」の判断には画像レポートを用いた。ランダムにピックアップした200画像に対して、判定ルールに基づき確信度を5段階で評価し、目視の結果と自然言語処理解析の結果を比較した。RWDから研究対象者を抽出する際の様々な問題点が浮き彫りになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
KBCSG-TR 1917研究の適格基準に合致する症例の抽出可能性(組み入れ基準)に関する検討を終える計画であったが、画像レポートについては、大阪大学医学部附属病院での分析に留まった。単施設での検討段階で既に手法は確立しており、多施設へ展開する準備は整っているため、深刻な遅れではないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討により、RWDを用いてKBCSG-TR 1917研究の適格基準に合致する症例の抽出可能性が示唆されたため、今年度は、アウトカム評価について検討を行う。KBCSG-TR 1917研究の主要評価項目である無増悪生存期間の統計解析には、RECISTに基づき再評価した情報をEDCで収集して用いたが、RWD(画像レポートや処置情報等)を用いて同様の結果が得られるかどうかを確認する。読み替えや推定、加工や導出のロジック等に基づき信頼性の分類指標を構築し、誤分類や測定誤差といったデータエラーが解析結果に与える影響については、シミュレーションにより検討を行う。 毎月行ってきた定例会議は、進捗状況の共有と方針の確認に加え、新たな発見に対する考察や、生じる課題への協議・対策が速やかにできるよう継続して開催する。
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Causes of Carryover |
各学会への参加形態がオンラインから現地参加にシフトしたこと、また、当初予定していなかった分野の学会にも研究成果を広く発信したいと考え、必要経費として繰り越した。専門家の助言に対する謝金や、学会等において研究成果を広く公表するために使用する。
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