2023 Fiscal Year Research-status Report
cell free mRNAからの微量遺伝子変異検出法の確立とその応用
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22K12899
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
築茂 由則 国立医薬品食品衛生研究所, 遺伝子医薬部, 室長 (40469630)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | cfRNA / cfDNA / exosome |
Outline of Annual Research Achievements |
血中を循環するcell free DNA(cfDNA)に含まれる腫瘍由来の変異遺伝子の情報は、一部の進行がんへの投薬判定(コンパニオン診断)や再発モニタリングに利 用されている。しかし、腫瘍由来のcfDNAが占める割合はごく僅かであり、感度不足の克服は継続的な課題となっている。 感度不足を補う方法として、最近では 血中を循環するmRNA(cell free mRNA)の診断への利用が検討されている。しかし、cf-mRNAの存在様式(一本鎖、多様な塩基長、二次構造、細胞外小胞・極小顆 粒内など)はcfDNAとは大きく異なり、検出・評価手法はまだ十分に確立されていない。 本研究では、cf-mRNAの回収方法の検討、プライマー・プローブ設計の改 良、逆転写酵素やポリメラーゼの比較検討、PCR条件の至適化など、cf-mRNAから微量遺伝子変異を検出するための一連のプロセスの最適化を行う。 昨年度は、汎用プライマー設計ソフトPrimer3によりプライマー設計要件を満たした約300プライマーセットについて、SYBR green法によりプライマーの自己会合ならびにオフターゲット増幅の発生の有無と頻度について検討し、最適なパフォーマンスが期待できるプライマーの選別方法を確立した。今年度は、これらプライマーの自己会合ならびにオフターゲット増幅を起こすプライマーセットについて実際に標的核酸の検出がどの程度影響を受けるのかプローブ法により検証した。その結果、オフターゲット増幅を起こし易いプライマーセットほど標的核酸の検出感度が低下しやすい傾向があることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
培養上清を用いた検討まで着手するまでには至らなかったものの、標的核酸の検出を高感度化するためのプライマー選別方法を構築できており、目標達成のための全体スケジュールの観点からは概ね順調に進めらることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討により、目的核酸を検出する上で最も重要な試薬となる高感度プライマー選別方法を確立できたため、今後は、ヒト肺がん細胞株の培養上清を用い、目的がん遺伝子変異の検出感度の評価を進める。
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Causes of Carryover |
高感度プライマーの選別方法の構築にあたり、必要試薬について前年度購入分で賄うことができた点が費用の節約につながった。その他、追加調査を実施し、当初の予定よりも低コストかつ高品質な試薬を入手できたため金額を抑えることができた。また、参加学会の開催地が近隣地域が多かっため、旅費が節約できた。
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