2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of a non-contact bedsore detection system using electromagnetic waves
Project/Area Number |
22K12919
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
高橋 応明 千葉大学, フロンティア医工学センター, 准教授 (70267342)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 褥瘡 / マイクロ波 / 非接触検知 / 人体ファントム / FDTD法 / ウェーブレット変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
先行研究では,10.5 GHzで動作するパッチアンテナを用い,その反射係数の変化量からステージⅡ~Ⅳの褥瘡の検出が可能であることが示されている.しかしこの手法は,皮膚とアンテナとの距離に大きく影響され,実環境での使用が困難であるという問題点があった.そこで,受信電圧波形にウェーブレット変換を施すことで,皮膚とアンテナとの距離に左右されない褥瘡検出に有効であることがわかった.受信電圧波形のウェーブレット変換によって得られるスカログラムから,ステージⅠの検出が可能であることと,「ピーク値」と「到達時間」という2種類のデータを抽出することによって,ステージⅡ~Ⅳの褥瘡の大きさと体積が推定可能であることがわかった.また,豚の皮膚と脂肪などを用いた層構造ファントムの実験により,褥瘡検出システムの基本的なアルゴリズムの検証と褥瘡が検知可能であることを確認した. また,褥瘡を検知できる範囲の検討も行った.従来の研究はセンサアンテナが褥瘡の直下にある場合のみの検討であった.実際には,寝たきりであっても,体動や介護の都合で,センサアンテナが褥瘡の直下にあるとは限らない.そこで,センサアンテナが褥瘡の直下にない場合を様々なステージにおいてモデル化し,数値シミュレーションにおいて,先の褥瘡の大きさ等が正確に推定できるか検討を行った.その結果,センサアンテナ直上を中心として,半径5cm程度の範囲でステージの特定が可能であること,さらに半径10cm程度では,ステージの推定に誤差を含むものの褥瘡自体の検知が可能であることが数値シミュレーションにて判明した. さらに,ベッドマット下に設置するための平面構造の給電方式の布アンテナを設計し,所望周波数で動作することを実験により確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
受信電圧波形にウェーブレット変換を施すことで,ステージⅠの検出と,ステージⅡ~Ⅳの褥瘡の大きさと体積が推定可能であるアルゴリズムの開発ができ,層構造ファントムにて実証実験でも有効性を確認できた.この手法を特許として出願を行った. また,布アンテナの設計,試作実験もおこない,動作確認ができた. 以上,当初の計画通りに進行している.
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Strategy for Future Research Activity |
層構造で検討を行っていた褥瘡検知システムが,実際の複雑な人体構造でも検出可能か検討を行う必要がある.そのためには,数値シミュレーションモデルをより人体に近づけたモデルを用いて検証していく必要がある.そのため,人体モデルとして,高精細数値人体ファントムの開発を行う.NICTが公開している高精細数値人体ファントムは,携帯電話用の周波数のために開発されたものであり,本研究の褥瘡検知システムに使用している周波数10GHz帯で使用するにはモデルの解像度が不足している.また,青年のMRIを基にして作成されているため,老人とは体格や皮膚等の厚みなどが異なっている.これらの問題を解決するため,老人に対応した高精細数値人体ファントムを開発する. また,実験での検証を行うために,実験用の人体構造を模擬したファントムの開発も並行して行う予定である.特にこの周波数での皮膚や脂肪のファントムのレシピが確立されていないため,先の実証実験では,豚の皮膚や脂肪を用いて実験を起こった.しかしながら,皮膚の厚みや電気定数が人体のものとは異なっており,数値シミュレーションの誤差要因となっていた.これを克服するためにファントムのレシピの開発を行う. さらに,高精細数値人体ファントムを忠実に再現して作製するのは,物理的に困難である.そのため,人体構造をどこまで模擬する必要があるかを数値シミュレーションによって確認などを行い,褥瘡検知システムの誤差に起因する要因は再現をした人体構造ファントムでの実証実験までを行う計画である.
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Research Products
(6 results)