2023 Fiscal Year Research-status Report
自動車用前照灯の照射特性が及ぼす視野障害者への影響に関する研究
Project/Area Number |
22K12928
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Research Institution | Daiichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
仮屋 孝二 第一工科大学, 工学部, 教授 (10523863)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 自動車用前照灯 / 照射特性 / LED式 / ハイビーム / ロービーム / 照射光度 |
Outline of Annual Research Achievements |
自動車用前照灯の検査基準をもとに、多種多様なヘッドランプのハイビームとロービームの相関関係や照射特性を調査分析した。研究結果より、検査基準に適合するハイビーム照射特性に対し、ロービームに切替えた場合の照射特性は検査基準を十分に満足するものではないことが確認できた。 前照灯の光源は従来のハロゲンランプからHIDやLEDが採用され始めており、光源の違いによるハイビームとロービームの相関関係や照射特性について調査分析を行った。研究結果より、光源の違いにより照射特性は異なっており、さらにヘッドライトユニットにも影響されることが分かった。よって、例えばハロゲンランプをバルブ型LEDに交換した場合はその都度、照射特性の確認が必要であり、さらに照射光度の上昇は保証できないことが確認できた。 次に、照射時間に対する照射特性の影響について様々な実験及び分析を行った。連続照射における光度は、LED式の場合は、40分後には2~3割低下した。ハロゲン式の場合は60分後に約1割の低下であり、連続照射におけるLEDの光度変化はハロゲンランプより大きい。さらに、連続照射での光源温度の影響については、温度の上昇値はバルブ型LED式よりハロゲンランプの方が大きく、バルブ型LEDはハロゲンランプより光度と光源温度の関係性が強いと考えられた。 以上の研究内容を、リハビリテーション工学協会と日本機械学会の各学会にて計3件の研究発表を行った。 また、令和4年度末に導入した新型前照灯試験機の特性や操作方法の検討を十分に行った。導入した試験機は、LED・HID・プロジェクタ・ハロゲンの各種ランプに対応した画像処理方式の前照灯試験機であり、実験の効率や得られたデータ精度の向上に大きく役立った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度末に導入した新型前照灯試験機の特性や操作方法の検討を十分に行った。導入した試験機は、LED・HID・プロジェクタ・ハロゲンの各種ランプに対応した画像処理方式の前照灯試験機であり、実験の効率や得られたデータ精度の向上に大きく役立ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度の計画は、LED式前照灯が測定可能な新型前照灯試験機を活用し、LED式前照灯を中心に照射特性を分析する。分析データを基に道路運送車両法の検査基準との適合性や視認性評価を行う。特に、エルボー点と最高光度点との関係性を明らかにする。さらに、ハイビームとロービームの詳細な配光特性を解析し、自動車の定期的な点検(例えば、継続検査)時において最適な照射特性を実現できる調整方法等を検討する。 また、様々なヘッドランプの照射特性を基に、視野障害者の運転時における有効視野と車両の照射特性との関係性について検討する。そのために、夜間の運転状況を想定した実証実験を行い、運転状況における前照灯の照射方向及び光度の影響を調査検討する。 令和6年度は最終年度となるため本研究で得られた結果をまとめ、学術研究会や学術論文等で成果を発表する。すでに、日本機械学会(2024年度日本機械学会年次大会)とリハビリテーション工学協会(第38回リハ工学カンファレンスin東海)での学会発表は登録済みである。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響が残っており、学部生の協力が厳しい状況のため「人件費・謝金」が予定通り消化できなかったため。次年度は実験データ取得に協力した学生に「人件費・謝金」を支払う予定である。
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