2022 Fiscal Year Research-status Report
生活空間における高齢者支援のためのソーシャルロボットによる行動誘導手法の確立
Project/Area Number |
22K12948
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
新妻 実保子 中央大学, 理工学部, 教授 (10548118)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸井 武司 中央大学, 理工学部, 教授 (90286956)
森田 和元 中央大学, 理工学部, 共同研究員 (40419122)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ソーシャルロボット / 人-ロボットインタラクション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,高齢者の知覚,認知能力にあったソーシャルロボットによる生活支援のためのコミュニケーションについて,近接学及びロボットの行動生成モデルの観点からその手法を確立しようとするものである。これまでソーシャルロボットと人のコミュニケーションについて多くの研究がなされている。特にソーシャルロボットと人との適切な距離の取り方についてパーソナルスペースの観点から様々な検討がなされている。人がロボットに対し不快感を抱きにくい距離,ロボットとの社会的関係を踏まえた適切な距離についての知見は得られているものの,その距離がどの程度メッセージの伝達や行動の誘導に適しているかは明らかになっていない。また,もう一つの課題は,これらの検討は大学生など若年層の被験者を対象に実施されている場合が多く,知覚・認知能力に大きな差があると予想される高齢者を対象に実施された例はあまり見られない。そこで,2022年度は,ロボットの外観・サイズと,人との距離感を変えたときのコミュニケーションの受け取り方について,成年被験者群と高齢被験者群とで評価実験を行った。 ロボットの外観としては,車輪型移動ロボットに表情提示機能のみを有するロボットと車輪で移動する人型ロボット(Pepper)を使用した。ロボットから人へ作業指示を行う際の距離感を変えて実験を行った。コミュニケーションを通じたロボットの社会的属性についてRoSASを用いて評価した。その結果,ロボットの外観に対する好感度については,成年被験者群ではロボット間で有意な差はなかった。一方,高齢被験者群については車輪型移動ロボットよりも人型ロボットの方が有意に好感度が高い結果となった。距離感に関しては,高齢被験者群ではロボットの近い距離に対して温かさの項目で高いスコアを示したのに対し,成年被験者群ではロボットの近い距離に対して不快感の項目で高いスコアを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度に計画した内容を計画通り実施でき,2023年度前期に計画した検討も始められていることから,おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度には,報酬的行動,懲罰的行動のモデル化と実装,及び行動誘導のための行動系列の生成の課題に取り組む。報酬的行動,懲罰的行動を表すジェスチャーの選定,それぞれのジェスチャーに対する印象評価を行い,それぞれのジェスチャーのコミュニケーションにおける効果を実験的に明らかにする。それぞれ明らかになった後,行動誘導のための行動計画に取り組む。
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Causes of Carryover |
海外出張を計上していたが,札幌市で開催される国際会議へ参加し,大学からの補助を使用したため計上した旅費を使用しなかった。また,ロボットの購入を検討していたが現有のロボットを使用できたため,ロボットの購入を見合わせた。2023年度に国際会議へ参加する際,計上した旅費を使用する。また,実験データの整理,分析にかかる人件費,実験参加者への謝金として使用したい。
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