2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K12956
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
馬場 靖人 東北大学, 情報科学研究科, JSPS特別研究員(PD) (00927569)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 少数派色覚 / 当事者研究 / ポスト構造主義 / 言語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、色覚少数者の日常生活世界の構造を解明することを目的とする。具体的には、まず当事者研究会の開催により、申請者自身を含む色覚少数者の経験についての語りの一次データを蓄積し、当事者間に共通するパターンを明らかにする(目的①)。次に、過去の色覚少数者が自分自身の日常的な経験について記述した複数のテクストを比較しながら読解し、それらのあいだに共通するパターンを明らかにする(目的②)。最後に、①と②により得られたパターンを、現象学やポスト構造主義の思想の知見に照らして解釈し、当事者に共通する経験の構造を解明することを目指す(目的③)。 2022年度は、目的①の達成のために、当事者研究会を開催し、色覚少数者の経験についての語りの一次データを収集した。年度内に当事者研究会を3回開催し、有益なデータを得ることができた。 また、目的②の達成のために、色覚少数派の当事者であるドイツの眼科医ハインツ・アーレンシュティールのテクストを読解し、彼が自身の色彩経験をどのように記述し、意味づけているかを明らかにした。 2023年度は、引きつづき当事者研究会を開催し、データの蓄積に努めるとともに、目的②および目的③の達成を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、当事者研究会を計3回開催することができた。これにより、色覚少数派の当事者の色彩経験にかんする有益なデータを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、他の研究課題の在外研究のため、当事者研究会を一時中断しなければならない。帰国後すぐに当事者研究会再開の準備を進め、早ければ8月には再開を目指したい。また、目的③「当事者に共通する経験の構造の解明」の達成のために、当事者の経験のパターンの解釈に着手する。以上により、年度内にすべての研究目的を達成することを目指す。
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Research Products
(2 results)