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2022 Fiscal Year Research-status Report

清代古音学史の多角的研究

Research Project

Project/Area Number 22K12973
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

鳥羽 加寿也  大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 招へい研究員 (80942036)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywords漢語音韻学 / 漢語史 / 清代学術
Outline of Annual Research Achievements

本年度は、申請した研究計画に基づきつつも、一部臨機応変に対応を行い、一定の研究成果を得ることができた。本年度に行った活動としては、清代音韻学史における学術態度の変遷の考察と、清代学術を含む清から民国にかけての学問史に関するシンポジウムの開催(類似分野の研究者との共同開催)が主に挙げられる。
夏期に行ったシンポジウムでは、自ら清朝音韻学の重要人物である戴震の学問観とその音韻学手法の関連についての発表を行った。発表では、戴震の今音学には、彼の哲学思想の特徴である、実のところは外来学問を受け入れつつも、表向きは外来学問を排斥するという態度が見られることを指摘した。また広く清代から民国期の学問を専門とする研究者を全国から集めて交流を行った。
その後シンポジウムで発表した原稿を元に、議論の対象を戴震周辺の音韻学者の学問にまで広げ、中国思想の専門誌である『中国研究集刊』に、清代古音学者の今音研究の変遷に関する論文を発表した。
論文では、清代音韻学の開祖である顧炎武と、その研究を受け継いで発展させた江永・戴震との間に、今音に対する態度に顕著な違いがあることを指摘し、その要因を論じた。簡単にまとめれば、顧炎武は今音を、当代音と古音とを結ぶ道具と考え、積極的な価値は認めないが、江永と戴震は今音自体に積極的に価値を認めている。この要因を、顧炎武の復古思想と、戴震の今音の脱外来学問化・儒教化という観点から探った。
本年度の研究は、研究計画全体における基礎部分と位置付けられ、清代音韻学と哲学思想との関連に関して、今後は西学(西洋伝来の学問)の受容に対する調査研究が必要であることを認識した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究課題の遂行において、基礎として位置付けられる、清代の主流の音韻学者たちの学問観と音韻学手法の関連に関して、一定程度の事実を明らかにすることができたため、研究の進展は現時点では順調であるといえる。
しかしながら、当初計画していた、研究データ整理部分の委託など、単純作業に落とし込む方法が思いつかず、本年度は自ら行っており、その影響で遅れが出ている部分もある。

Strategy for Future Research Activity

研究データの整理に関しては、実際に研究を開始してから、協力者に委託するために作業を単純化するよりも、全て自ら行う方がむしろ効率的であると認識するに至ったため、当初計画にあった協力者への委託を行わない可能性もある。
その他の研究計画の推進方策だが、今年度発見した課題を深める形で、基本的には申請時の計画通りに進めようと考えている。具体的には、清代の非主流音韻学者の著作の調査を進めつつ、今年度の研究発表で認識した、外来の学問と音韻学の関係に対する音韻学者たちの対応や、清代における音韻学の独立化などの問題に関して、音韻学者たち内部からの見方だけではなく、外部からの評価を含めて調査していくことを計画している。
調査の結果は、本年度末あるいは来年度初頃に、論文の形で発表することができるよう、進めていく。

Causes of Carryover

初年度に支出が最大になることを見込んでいたが、主に人件費の面で、当初想定していた作業を任せる計画が実施できず、次年度使用額が生じた。
今年度は研究成果の外国語訳や、資料整理の補助の人件費として、繰越額を使用することを考えている。

  • Research Products

    (3 results)

All 2023 2022

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 清代音韻学における今音学の位置付け2023

    • Author(s)
      鳥羽加寿也
    • Journal Title

      中国研究集刊

      Volume: 69 Pages: 283-296

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] 楚簡韻讀・韻譜(前編)2022

    • Author(s)
      鳥羽加寿也
    • Journal Title

      中國出土資料研究

      Volume: 26 Pages: -

  • [Presentation] 経学と「正統性」戴震の音学研究を例に2022

    • Author(s)
      鳥羽加寿也
    • Organizer
      古典から近代へ 清代と民国期の学問

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Published: 2023-12-25  

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