2023 Fiscal Year Research-status Report
現代における在日コリアンのキリスト教信仰に関する研究
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22K12983
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
荻 翔一 東海大学, 文学部, 日本学術振興会特別研究員 (00894552)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | キリスト教 / 在日コリアン / グローバル化 / 韓国 / 新旧移民 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本で生まれ育った二世、三世の在日コリアンのキリスト教信者を対象に、信仰とエスニシティの関係の一端を明らかにすることである。特に、近年来日したニューカマーの韓国人牧師・信者の存在や彼ら/彼女らの持ち込んだ宗教様式が、信仰形成・深化に関与しているのか、またその関与の過程で、信仰とエスニック・アイデンティティがどのように結合(ないしは分離)しているのかという点に注目する。それを通して、現代における在日コリアン(特に二世以降の世代)のキリスト教信仰が、同胞コミュニティとの関わりの中だけでなく、韓国社会の宗教変動を背景に在日コリアンが集う教会にも参与するようになったニューカマーや彼ら/彼女らが持ち込んだ宗教様式とも関わる中で創造されているという見方を提示することを試みる。 2023年度中は、1950年代から1970年代にかけての在日コリアン教会の青年会資料を分析し、信仰とエスニシティを結合させた在日コリアン青年たちのアイデンティティの内実を考察した。また、前年度に実施した二世、三世の在日コリアンのキリスト教信者に対する聞き取り調査の分析についても取り組み、同胞が集う教会(民族教会)に対していかなる意識を持って活動しているのか、その一端を明らかにした。こうした調査の成果の一部は、日本宗教学会第82回学術大会(2023年9月10日、東京外国語大学)やKCCJ史研究会(2023年9月12日、KCC会館)などで発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は最終年度に予定していた収集資料および聞き取り調査の分析に取り組み、一定の知見を盛り込んだ成果を発表した。一方で、追加の聞き取り調査の実施はほとんどできず、調査協力者の人数が当初の計画と比べると不足していることから、本研究は「当初の計画以上に進展している」とは言えず、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
首都圏の在日コリアン教会を訪問し、調査協力者数人に聞き取り調査を実施する。特にオールドカマーが中心となる教会との比較を視野に、韓国系ニューカマーが一定数存在する教会に通う信者を対象とすることを計画している。年度末までにすべての聞き取り調査の分析を終え、在日コリアンのキリスト教信者の信仰とエスニシティの関係の一端を明らかにする。
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Causes of Carryover |
旅費が当初の想定よりも低額で収まったことや人件費の支出がなかったことなどから、次年度使用額が発生した。 次年度使用額は現地調査のために必要となる旅費や文字起こし業者への支出費用として使用する計画である。
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