2023 Fiscal Year Research-status Report
ジャック・ランシエール『アイステーシス』の読解を通じた近代芸術史の再解釈
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22K12996
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 亘 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 助教 (60931847)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 美学 / ランシエール / 大衆文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は第一に、昨年度に継続して哲学的テクストにおける「自由間接話法」の使用について研究を行い、日本シェリング協会第32回学術大会シンポジウムにて発表を行った。この成果は論文として24年度中に公開予定である。また、ランシエールに加えドゥルーズやパゾリーニにおける自由間接話法を論じた昨年度の成果も論文化し、24年度中に公開予定である。 第二に、2021年度に提出した博士論文に本研究課題の成果を踏まえて加筆修正を行い、書籍として出版した(鈴木亘『声なきものの声を聴く──ランシエールと解放する美学』堀之内出版、2024年3月)。 第三に、関西マラルメ研究会20周年記念シンポジウムにて、『アイステ―シス』のステファヌ・マラルメ、ロイ・フラー論(第6章)を取り上げた発表を行った。 第四に、ランシエール『文学の政治』(森本淳生訳、水声社、2023年6月刊)合評会にて、上記自由間接話法の研究、マラルメ、フラー論の研究を盛り込んだ発表を行った。 第五に、本研究課題の骨子として、『アイステーシス』の読解・注釈作業を継続して行っている。具体的には前述のマラルメ、フラー論の箇所(第6章)に加え、全14章中、第3章まで作業を行っている。 第六に、昨年度からの継続として、ランシエールに限定されない観点から、周縁的文化事象と芸術との関係を巡っても研究を行った。具体的には、落語や漫才など日本の笑芸の古典化・芸術化・制度化の過程や、そこで批評が果たした役割について研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
22年度の成果を論文化し、また著作に盛り込んで(24年度にまたがるが)刊行することができた。また、『アイステ―シス』の内容検討に具体的に着手し、2件の発表を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に口頭発表した成果についてはすみやかに論文化を行う(書籍化が計画されているものもある)。 『アイステ―シス』の読解は継続して進める。このペースで行えば、当初の予定通りに終えられる予定である。
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Causes of Carryover |
調整しきれないごく少額の残金が発生した。
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Research Products
(4 results)