2023 Fiscal Year Research-status Report
シュルレアリスム以降の前衛芸術運動におけるマンガ表現について
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22K13001
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Research Institution | Shizuoka University of Art and Culture |
Principal Investigator |
中田 健太郎 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 講師 (90727736)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | マンガ / シュルレアリスム / フィギュラシオン・ナラティヴ / ヌーヴォー・ロマン / 前衛芸術 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、シュルレアリスム以降の前衛芸術運動におけるマンガ表現を主題とするものである。とりわけ、1960年代のシュルレアリスム、フィギュラシオン・ナラティヴ、ヌーヴォー・ロマンなどを対象としつつ、前衛的な芸術の理念がマンガ表現においてどのように実践されてきたのかについて、具体的な検討を行うものである。そのため本研究は、前衛芸術をめぐる美学研究と、前衛的なマンガ表現をめぐるマンガ研究を架橋しつつ進められる予定である。 研究計画の二年目にあたる2023年度には、シュルレアリスム・グループにおける最も著名なマンガ家とも言える、モーリス・アンリについての研究を行い、論文「モーリス・アンリ、あるいはシュルレアリスムと一コママンガ」(『静岡文化芸術大学研究紀要』24号)を執筆・発表した。また、1960年代のシュルレアリスムにおけるマンガ的表現についても調査を行い、講演「展示とレイアウトーーシュルレアリスム・マンガの事情をめぐって」(シュルレアリスム宣言100年記念講演会)において発表した。そして、ヌーヴォー・ロマンの理念にかかわるマンガ表現を展開した、マーティン・ヴォーン=ジェームズについての研究をつづけ、本研究期間以前に行っていた発表内容にもとづく論文を執筆した(同論文は、水声社より近刊の論文集に収録予定)。なお、上記三件の、今年度の研究成果は、科研費課題「アンドレ・ブルトンにおける1940年代以降の自動記述の視覚的・造形的性質」の成果でもある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フィギュラシオン・ナラティヴに関する調査・研究は、当初の予定よりも遅れている。とはいえ、1960年代のシュルレアリスムに関しては、当初予期していなかった発表機会と、調査成果があった。マーティン・ヴォーン=ジェームズに関する研究にも、一定の進展が見られた。総じて、予定されていた研究計画は、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
フィギュラシオン・ナラティヴに関する調査・研究をすすめる。また、ここまでの成果にもとづきながら、マンガ表現と前衛芸術の関係性を位置づけるための作業に着手する。
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Causes of Carryover |
購入予定の資材のうち、必要がないとあらためて判断されたものが生じたため。
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