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2023 Fiscal Year Research-status Report

Foodways in Queer Cinema: LGBT Film Festival Programs in Focus

Research Project

Project/Area Number 22K13017
Research InstitutionKanazawa University

Principal Investigator

久保 豊  金沢大学, 国際学系, 准教授 (30822514)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2027-03-31
Keywordsクィア・シネマ / 食文化 / 映画祭プログラム / 喪 / ジェンダー / セクシュアリティ / 宣伝・広告 / 情動
Outline of Annual Research Achievements

第二年目は、1990年から1999年までに開催されたサンフランシスコ国際LGBT映画祭のプログラムを対象に、本映画祭で上映された映画作品内の描写に加えて、映画プログラムに掲載された宣伝・広告の中にどのどのような食文化をめぐる記述が見られ、1989年以前のものとどう変化したのかを調査した。また、クィア・シネマの先行研究を頼りに、①1990代の「ニュー・クィア・シネマ」に数えられる作品と②メインストリームの観客向けに製作された作品群の共通点と差異について、食表象から整理を行った。さらに、フード・スタディーズにおける新旧の先行研究を精査し、映画学およびクィア・スタディーズとの接合を目指すため、理論的な土台をより大きく広げた。
以下、第二年目の主な研究実績について概略する。第17回表象文化論学会で行った"Framing the Aftertaste of Loss: Food and (In)Digestion in Haruhara-san’s Recorder"では、食事場面が多数登場するレズビアン映画『春原さんのうた』におけるゆっくりとした喪の消化について論じた。フード・フィルムとクィア・シネマをスローシネマの特質と掛け合わせて理解するための糸口を提示することに成功した。明示的に語られることのないクィアネスの味と芽生えについては、「『怪物』に性的マイノリティの子どもたちは救えるのか。「美しい物語」が見えづらくさせたもの」(『CINRA』)においてさらに考察を深めることができた。第二年目の大きな成果としては、食表象を分析する上で、情動と接触の視点は欠かすことができない点であり、その理解を深めるための一歩として投稿した「奥まで触れて──映画にみる接触へのクィアな欲望」(『Fashion Talks...』15号)が採択された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

第一年目に引き続き、食習慣や食文化に関する新旧の先行研究を精査し、理論的な枠組みの理解を深め、映画学およびクィア・スタディーズとのさらなる接合に取り組むことができた。食習慣と食文化に関する研究はさまざまな学問分野において発展しており、第二年目は、特に人類学と情動論から有益な知見を得ることができた。また、理論的な拡大だけでなく、研究者ネットワークの拡大もムンバイで開催されたKASHISH Mumbai International Queer Film Festivalへ実地参加したことで達成できた。
研究対象の一つであるサンフランシスコ国際LGBT映画祭/Framelineのプログラム分析は、資料調査のアルバイトを雇用できたことで順調に進んだ。プログラム内容のカタログ化を進められた一方で、これまでの映画祭研究の知見をより精密に整理する必要があると考える。当初の計画の範囲内で進められているものの、査読付学術論文での成果発表が課題として残る。

Strategy for Future Research Activity

第三年目は、以下の資料整理と研究調査を実施する。
2000年から2009年までのサンフランシスコ国際LGBT映画祭のプログラムに掲載された作品や上映・パフォーマンス等のイベントを検索可能な形へカタログ化する。第三年目が対象とする年代はクィア・シネマの大衆化が急激に進んだ時代である。その時代性を考慮しながら、この年代に家族や性的マイノリティの表象において、どのようなステレオタイプ化がなされたのか、また映画祭プログラムがそのような流れに対してどのような抵抗のプラットフォームになったのかについて検証する。その検証の中で食表象に焦点を当てることで、映画内外のコミュニティと食習慣の繋がりについて分析を行う。
第一年目および第二年目の研究調査とその分析結果に基づき、研究成果の発信を行う。その一環として、英語と日本語での査読付学術ジャーナルへの投稿に加えて、2024年6月の日本映像学会(採択済)、2024年12月の日本映画学会にて口頭発表を予定している。第二年目に築いた外国人研究者との共同研究を検討しており、Society for Cinema and Media Studies、もしくはAssociation for Asian Studiesでのパネル発表を目指す。

Causes of Carryover

初年度に「若手研究における独立基盤形成支援(試行)」 も加えて採択されたことにより、当初の研究計画よりも潤沢な予算を得ることができたため、次年度使用額が生じた。第三年目の研究調査では、当初の研究計画を再調整し、食と映画・ポピュラーカルチャーに関して知見のある研究者を多分野から招聘し、情報交換を行うための予算に計上予定である。

  • Research Products

    (6 results)

All 2024 2023

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 奥まで触れて──映画にみる接触へのクィアな欲望2023

    • Author(s)
      久保豊
    • Journal Title

      Fashion Talks...

      Volume: 15 Pages: 36-47

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 心を空っぽにしながら、ナマケモノはクィア映画の夢を見る2023

    • Author(s)
      久保豊
    • Journal Title

      映画芸術

      Volume: - Pages: 44-46

  • [Presentation] 文化と記憶の継承の「規範的」な時間性と空間に抗うことー企画展「Inside/Out──映像文化とLGBTQ+」を例に2024

    • Author(s)
      久保豊
    • Organizer
      金沢大学ワークショップ「文化と記憶の継承とその行方」
  • [Presentation] Framing the Aftertaste of Loss: Food and (In)Digestion in Haruhara-san’s Recorder2023

    • Author(s)
      Yutaka Kubo
    • Organizer
      第17回表象文化論学会
  • [Presentation] The Celebration of Being Useless through Food: Portrayals of Older Women in Danger Stalks Near and The Ballad of Narayama2023

    • Author(s)
      Yutaka Kubo
    • Organizer
      25 Anni Senza Gioia Ne Lacrime: Ritorno Al Cinema Di Kinoshita Keisuke
    • Int'l Joint Research
  • [Book] Beyond Diversity: Queer Politics, Activism, and Representation in Contemporary Japan2024

    • Author(s)
      Yutaka Kubo
    • Total Pages
      202
    • Publisher
      Dusseldorf University Press

URL: 

Published: 2024-12-25  

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