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2022 Fiscal Year Research-status Report

生命科学論文の説明図への制作・掲載メディアの影響

Research Project

Project/Area Number 22K13029
Research InstitutionJ. F. Oberlin University

Principal Investigator

有賀 雅奈  桜美林大学, リベラルアーツ学群, 助教 (40756623)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywords視覚文化論 / グラフィカル・アブストラクト / ダイアグラム / イラストレーション / 科学論
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、論文の図を通じて現代科学の大きな特徴である視覚文化の理解を深めることにある。今年度は特に、論文の図の変化を探究すべく、科学者の図の表現や議論が図の掲載メディアと制作メディアの変化によりどのように変化したのかを分析した。
具体的には、科学ジャーナル『Cell』の論文の説明図を分析し、図全体としてどのような変化がみられるのか、また、1990年代~00年代頃のPCや作画ソフトの普及前後でどのような表現上の変化が現れ、それはソフトの性質とどう関係するのかを分析した。
論文の図にどのようなタイプの図があるのか、どのような方法で描かれているのかを分析した結果、図の種類が実験機器や技術の変化に伴い変化していること、図が90年代頃から手描きからPCソフトによる制作に移行していること、グレースケールからフルカラーに図の移行が進んでいることなどが明らかになった。この背景として、単に実験技術の変化や進展があったことだけでなく、科学の質的・認識論的な変化があったことを指摘した。すなわち、激化する論文掲載競争の中で査読に対応する必要性や、科学者の美しく目立たせ、わかりやすく説得したいという動機、PC導入による図の制作コストの低下、図による議論の変化(図の描画的表現から概念的表現への変化)などがあることを見出した。これらの研究成果を通じて、現代における科学の変容と知識生産とコミュニケーションにおける科学の視覚文化の理解が深まったと考えている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究計画では本年度に論文中の図の変化の分析を行う計画としていた。このスケジュールに従い、本年度は論文の図を収集し、分析を行うことができたと考えている。成果は2点あり、1点目の図の全体の動向の分析結果は、本年度中に論文が出版された。この分析は申請前から進めていた土台となる研究内容であり、査読への対応プロセスでデータを追加するなどして分析がより深まった。2点目としては、論文の図の「色」を切り口に論文の図の表現の変化とその社会的課題をまとめた論文を投稿した(現在査読中)。
また、次年度に行う予定の分析の準備も進めている。2年目に行う科学者などへのインタビューの設計と質問のリスト化を行った。この計画は学内の倫理委員会で審査され、すでに承認を受けている。また、グラフィカル・アブストラクトの分析に向け図の収集も行った。以上のことから、全体として計画通りに進んでいるといえる。

Strategy for Future Research Activity

今後は研究計画通りに進める予定である。研究計画としては、引き続き論文の図の変化の分析を行うことと、科学者へのインタビューを実施し、図の制作実践が実際にどう変化したのか、図を制作・使用する科学者自身が図の変化をどう捉えているのか、また図に関わる認識論的な変化はあるのかなどを検討する。また、グラフィカル・アブストラクトの分析も開始する予定である。表現の性質や、科学者にとってのグラフィカル・アブストラクトの位置づけなどを検討する予定である。

Causes of Carryover

本年度においては論文出版に当たりオープンアクセス掲載料を442306円支出した。この支出は本年度の予算の半分に相当するもので、当初の予定にない支出であったため、支出後しばらくは出張を控えるなどして経費削減を行っていたものの、研究の続行に影響したことから12月に前倒しの支払い請求を行った。
前倒しで減った次年度予算については、予定していた海外出張をオンラインに切り替えるなどして対応する予定である。また、前倒しの支払い請求が10万円単位であったこと、本年度に予定していた出張を控えたことから、前倒し支払い請求した金額の一部が余り次年度に繰り越された。この分は当初の研究計画で支出する予定だった項目で利用するほか、分析データセットの整理をしてもらうためのアルバイトの雇用費として利用する予定である。
上記以外の用途については、研究計画通り実施する予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2022

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results)

  • [Journal Article] Change in the graphics of journal articles in the life sciences field: Analysis of figures and tables in the journal “Cell”2022

    • Author(s)
      Kana ARIGA, Manabu TASHIRO
    • Journal Title

      History and Philosophy of the Life Sciences

      Volume: 44 Pages: -

    • DOI

      10.1007/s40656-022-00516-9

    • Peer Reviewed / Open Access

URL: 

Published: 2023-12-25  

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