2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K13063
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
石 碩 法政大学, 経済学部, 准教授 (20732689)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 李白 / 詩語 / 青天 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、研究課題の第一段階として、李白詩の語彙・表現に対する整理・分析を行った。その具体的な事例として、詩語「青天」を取り上げ、その原義および六朝期から初唐にかけての用法の変遷を整理し、李白詩における用法の独自性について論じた。 「青天」には普通名詞として青い天空を指し示す用法と、誇張のために「青天」を用いる比喩的用法とがあり、『荘子』以来、中国古典詩では頻繁に見られている。なかでも、李白は他の詩人に比べて突出して多くの「青天」を詩中に詠み込んでおり(四十三首、『全唐詩』に見れる「青天」の二割強)、さらに『荘子』以来の「青天」の系譜を汲みつつ、従来には見られない独自の用法を開拓している。李白詩における「青天」の用法として、特に重要となるのが、作者の体験・主観に基づく、実景描写としての「青天」と、月・山など特定の対象を際立たせる舞台背景としての「青天」である。これは李白が伝統的な「青天」の用法を礎としつつも、独自の詩的効果を生み出した事例の一つである。上記の研究によって得られた成果は以下の通りである。 ①北京大学中国古文献研究中心・復旦大学古籍整理研究所・早稻田大学中国古籍文化研究所によって共同開催された国際シンポジウム「中日漢籍籍研究与交流学術検討会」(2022年12月17日Voovmeetingにおけるオンライン会議)にて「浅析李白詩歌中的“青天”意象」というタイトルで発表した。 ②中国詩文研究会『中国詩文論叢』第41集(2022年12月刊行)に論文「李白詩における『青天』について」を投稿し、掲載された。 この他にも、中国における近年の唐詩研究・李白詩研究の傾向および李白晩年の文学について資料収集を行い、その特徴を整理した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、研究課題の第一段階として、李白詩の語彙・表現に対する整理・分析を予定していた。やや研究内容の微調整はあるもの、進捗は概ね順調である。従来の2022年度の研究計画は以下のとおりである。 ①李白詩の語彙・表現のうち、六朝期に形成されたもの(詩語や詩跡)の整理・分析:部分的に整理を行い、また具体的な事例を取り上げて分析を行った。研究成果については、2022年度開催のシンポジウムで研究発表を行い、また2022年度刊行の研究雑誌に論文を投稿した。 ②李白詩の語彙・表現のうち、六朝期の人物・逸話を指し示すもの(詩人や典故)の整理・分析:資料収集の段階であり、詳しい分析は2023年度に行う予定である。 上記①②に加え、当初は予定していなかったものの、課題遂行の過程で必要性が生じたため、以下の③④について、追加的に研究を行った。 ③2019年度~2022年度における中国の唐詩研究および李白詩研究の傾向に関する調査・整理:特に唐詩・李白詩の語彙論・表現論に関する論文を調査し、その傾向を整理することで、2023年度以降の研究の手がかりとした。 ④李白晩年の文学に関する資料・文献調査:安史の乱以降の李白詩の傾向として、制作年・制作場所・交遊相手が特定しやすく、また内容が写実的であるなどの点が挙げられ、これに伴って典故や表現が指す対象も比較的明確である。これを切り口として、李白詩の語彙・表現の特徴について研究すべく、李白晩年の足跡および文学に関連する資料・文献の調査を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、研究課題の第二段階として、李白による六朝詩受容の関連語彙・表現に関する調査・研究を計画している。具体的には以下の3点について順次進めていく。 ①2022年度に行った、李白詩の語彙・表現のうち、六朝期に形成されたもの(詩語や詩跡)の整理・分析を引き続き行う。 ②李白詩の語彙・表現のうち、六朝期の人物・逸話を指し示すもの(詩人や典故)の整理・分析を進め、その特徴を研究成果としてまとめる。 ③李白晩年の文学に関する研究をすすめ、その特徴を研究成果としてまとめる。
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Causes of Carryover |
2022度は、当初予定していた国内資料調査を行わなかったため、次年度使用額が生じた。 コロナが終息を見せたことで、国外調査(中国)を行うための航空券代が高騰しているため、2023年度の調査費として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)