2023 Fiscal Year Research-status Report
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22K13069
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
秋田 万里子 富山大学, 学術研究部人文科学系, 講師 (10914939)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ユダヤ系アメリカ文学 / ホロコースト / 記憶 / トラウマ |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、Jonathan Safran Foer, Julie Orringer, Cynthia Ozickの3作家に焦点を絞り、経験していないアメリカのユダヤ系作家によるホロコースト・ナラティブの傾向を探った。その研究結果は、査読論文“America as a Medium of Memories: Representations of the United States in Third-Generation Holocaust Novels”(『シュレミール』第23号,日本ユダヤ系作家研究会),および査読論文「『食』は語る―シンシア・オジックの『ショール』におけるホロコースト・サバイバーの苦悶と再生―」(『中部アメリカ文学』第27号,日本アメリカ文学会中部支部)という形でまとめ,ともに2024年3月に刊行された。 また,2023年12月16日に開催された多民族研究会第40回全国大会のシンポジウム「クロスエスニシティセッション:エスニック・スタディーズの未来」において,「『夢』が繋ぐ時空間―Jonathan Safran FoerとJulie Orringerにおける第3世代ホロコースト・ナラティブの技法―」という題目で登壇した。このシンポジウムにおける発表内容は,2024年度に多民族研究学会の学会誌『他民族研究』に査読論文として掲載される予定である。さらに,2024年3月16日には,ユダヤ系作家研究会において,ホロコーストを経験していないユダヤ系アメリカ人作家Cynthia Ozickの中短篇作品に関する研究発表を行った。また,2024年7月に出版予定の共著『ホロコーストと〈愛〉の物語』でも,第3世代作家Julie OrringerのThe Invisible Bridgeに関する章を担当し、4月に出稿済みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、2022年度にJonathan Safran Foer、Cynthia Ozick、Julie Orringerの3作家の研究に一区切りつけ、Nicole Krauss (1974- )の作品分析に着手する予定だった。しかし、FoerとOzickの作品群に関してさらに掘り下げる余地が出てきたため、Krauss作品の研究にまで至らなかった。2024年度は2023年度にやり残したKrauss研究を中心に進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年12月に多民族研究会第シンポジウム「クロスエスニシティセッション:エスニック・スタディーズの未来」で発表した「『夢』が繋ぐ時空間―Jonathan Safran FoerとJulie Orringerにおける第3世代ホロコースト・ナラティブの技法―」を論文にまとめ、前世代と異なる21世紀ホロコースト小説の独自性を明らかにする。また、Nicole Kraussの長編小説The History of Love (2006) を中心に、第3世代ホロコースト小説における記憶の表象について考察する。さらに今年度は、実際にアメリカに赴き、資料館や博物館、図書館でホロコーストやユダヤ人の歴史・文化に関する一次資料を収集することを計画している。
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Causes of Carryover |
2023年度は海外調査を行わなかったため旅費をあまり使わなかった。2024年度は夏にアメリカへの実地調査を計画している。
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Research Products
(4 results)