2022 Fiscal Year Research-status Report
文学作品から立ち現れる「ニューヨーク」像――1800年代から1950年代まで
Project/Area Number |
22K13081
|
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
横山 晃 立教大学, 文学部, 助教 (50923687)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
Keywords | ニューヨーク / フィクション / 映画 / キング・コング / 固有名詞 |
Outline of Annual Research Achievements |
ニューヨークの表象を分析する本研究は、その表象を文学、映画、写真、地図といった複数のメディアに見出し、観察した。2022年度は映画『キング・コング』(1933)を分析対象の一つとして取り上げ、「フィクション」としてカテゴライズされる作品内の出来事が、現実において観客がニューヨークに対していだくイメージに影響を及ぼしている点に着目し論文執筆を進めている。『キング・コング』において、コングがエンパイア・ステート・ビルディングをよじ登り、最後には落下する一連の場面は良く知られているが、ニューヨークにおいて当時最も高いビルに登ることで、コングはスカイスクレイパーに象徴されるニューヨークのイメージを目撃し、観客に伝えている。以上のようにフィクショナルな語りによって描写されるイメージと現実における対象との関係を詳細に検討するために、完全にフィクショナルなキャラクターと考えられるコングの「存在」についても分析の対象にした。コングが一つの作品の枠を超えて登場すること、そもそも「コング」と呼称されるモンスターは全て同一の個体なのか、それとも「コング」とはひとつの種を指す名称なのか、という問いに言及している。なお、この点については1933年から2023年までに公開された『キング・コング』の関連作品を分析の対象に含んでいる。作品内キャラクターの「存在」に関わる分析は、上記のように名前が指し示す対象という哲学的な分析に加え、コングが作品の内と外という仕切りを跨いでいるような演出が施されている点を読み解く、文学的な解釈に立脚している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果を英語のジャーナルに投稿するために執筆中であり、計画通りに進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
文学作品や映画、写真や絵画など、複数の媒体における都市(ニューヨーク)の表象をたどる、という点を分析するうえで、各作品のジャンルが重要なファクターになっているために、この点を含めて研究を継続していく。
|
Causes of Carryover |
海外より購入した書籍のうち、購入後、商品未到着のためキャンセル処理を行ったものがあった。これにより、本来使用する予定であった予算の一部が返金され、未使用額として計算されている。2023年度においてこの未使用分はキャンセル扱いとなった書籍の購入に充てる予定である。
|