2023 Fiscal Year Research-status Report
ゾラ・ニール・ハーストンの「民衆劇」における黒人表象と普遍性との関連
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22K13085
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Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
光森 幸子 広島修道大学, 人間環境学部, 講師 (00906969)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 黒人のフォークロア / ハイ・ジョンの役割 / 黒人女性の解放 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はハーストンの戯曲について、黒人フォークロアとの関連を研究する年であった。 2023年10月21日、第62回日本アメリカ文学会全国大会において、「Hurstonのフォークロアと女性の解放――戯曲 The Fiery Chariot と Polk County における “High John” の役割変化から」を発表した。 本発表では、まずハーストンによる黒人のフォークロアの定義を確認し、黒人の間に伝承されている黒人奴隷にとっての英雄的存在、ハイ・ジョンについて、ハーストンがどのように捉えているのかを彼女自身の評論や書簡、『騾馬と人』を引きながら精査した。次に、戯曲『火の馬車』における、アイクと彼の妻 ダイナ(Dinah)の関係を元の話と比較し、ダイナの反応を、当時の黒人女性の状況をもとに考察した。そして戯曲『ポーク・カウンティ』におけるハイ・ジョンの登場場面に注目し、彼の存在が女性の解放とも固く結び付いている様子を検討した。そのうえで、二つの戯曲の共通点に鑑み、ハーストンが、男女共に解放された、新しい黒人のフォークロアを、独自のハイ・ジョン解釈によって提示したことを明らかにした。 その後、発表で頂いた意見や自身の新たな気付きなどを含めて発表内容を整理し、論文を修正したが、投稿には間に合わなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年10月に発表した「Hurstonのフォークロアと女性の解放――戯曲 The Fiery Chariot と Polk County における “High John” の役割変化から」について、同タイトルの論文を、現在仕上げている段階であり、2024年の秋に投稿を予定している。広島修道大学で英語契約講師をしていたが、2023年度は契約期間最後の年度であり、自身の就職活動を行いながらの研究で、時間が十分に確保できず、論文の投稿が遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、第63回アメリカ文学会で「Hurston戯曲における黒人フォークロアの特徴――戯曲 Cold Keenerにおける境界の喪失」を発表する予定である。 本発表では9つのスキットで構成された戯曲Cold Keenerを、フロリダの自然を表すもの、北部黒人の日常を表すもの、南部黒人の日常を表すものの3種に分類し、其々の黒人フォークロアの特徴について検討する。そのうえで、それらの特徴から、 Hurston があらゆる生物の境界の無い繋がりを示していることと、さらに上記の3種の相乗効果に、演者と観客との境界喪失も企図されていることを明らかにする。その後、本発表の論文の投稿を予定している。 なお、その後はハーストン戯曲を宗教的側面から考察していく。それに伴い、フロリダ州での調査を予定している。
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Causes of Carryover |
広島修道大学で英語契約講師をしていたが、2023年度は契約期間のうちの最後の年度であり、自身の就職活動を行いながらの研究で、研究調査の時間が十分に確保できなかった。したがってハーストン戯曲に関して海外で調査研究をするという目的が達成できず、次年度に使用額が発生してしまった。
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