2023 Fiscal Year Research-status Report
Female Eloquence and Education in Shakespeare's Plays
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22K13086
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Research Institution | Shigakukan University |
Principal Investigator |
高根 広大 志學館大学, 人間関係学部, 准教授 (60849339)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | シェイクスピア / 修辞学 / 雄弁術 / 教育 / ジェンダー |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年10月14日(土)、15日(日)に行われた第61回シェイクスピア学会の2日目に、「『ロミオとジュリエット』を読む」という題で、セミナー発表を行った。本研究の報告者はコーディネーターを務め、他の5人の研究発表者やコメンテーターとともに、発表当日までの約4か月の間に『ロミオとジュリエット』について、様々な意見交換を行った。 また、本研究の報告者は、「作品世界の広がり」という題で、セミナーのイントロダクションを行い、シェイクスピア以前からシェイクスピア以後まで、時間や空間、さらにはメディアを超えて、創作され、受容される『ロミオとジュリエット』という作品の特徴を概観した。 特に本研究との関わりで重要なのは、シェイクスピアが先行する作品からどのように自身の作品を創り出したかということである。たとえば、アーサー・ブルックの物語詩『ロメウスとジュリエッタ』(1562)は、シェイクスピアが創作する際に直接的に参考にしたと考えられているが、ジュリエットやその乳母の描かれた方に見えてくる違いは、女性の雄弁と教育を研究対象とする本研究において、今後さらに深めていくべき対象であると思われる。 また、紀元前後に生きた古代ローマの詩人オウィディウスの『変身物語』に収録された「ピュラモスとティスベ」は、争う両家の若い恋人が誤解とすれちがいで死に至る点で、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』に類似するが、シェイクスピアにおけるオウィディウスの受容とルネサンス期の教育という点でもやはり、今後の研究対象となり得る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究対象に加えて、新たに『ロミオとジュリエット』について研究することとしたため。
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Strategy for Future Research Activity |
『ロミオとジュリエット』については、2023度10月のシェイクスピア学会のセミナー発表を土台とし、2024年度10月のシェイクスピア学会で口頭発表を行いたい。発表後はその後の論文投稿に向けて、さらに研究を深める。『コリオレイナス』については、17世紀英文学会の論集に投稿予定である。『じゃじゃ馬馴らし』と『お気に召すまま』の研究は、その後に成果を公表する予定である。
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Causes of Carryover |
予定されていた『じゃじゃ馬馴らし』、『お気に召すまま』、『コリオレイナス』の研究を次年度以降に変更したため。
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