2023 Fiscal Year Research-status Report
言語島となった在日コリアン・コミュニティにおける言語変容の研究:書き言葉を中心に
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22K13113
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
權 恩熙 小樽商科大学, 言語センター, 准教授 (80931576)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | カタカナ朝鮮語 / エスニック・メディア / 在日コリアン / 在日朝鮮語 / 朝鮮学校 / 準口語 / 在日朝鮮人 / コード・スイッチング |
Outline of Annual Research Achievements |
朝鮮学校コミュニティで生産・流通されているメディアのうち、最も言語的に保守的と推測される『朝鮮新報』の直近10年分の日本語記事で発見されるカタカナ朝鮮語の特徴についての考察をまとめ、東北アジア文化学会(韓国)の国際学術大会で発表を行った。 また、「準口語」としての「セリフ」を通して当時の言語様相を垣間見れる「マンガ」にも注目し、在日コリアンコミュニティ内で生産・流通されているマンガの種類と特徴について調べた。とくに『朝鮮新報』で連載され単行本としても発刊されるほど多くの任期を集めた『大空にはばたけ』(1986年~2001年連載)については、言語様相の背景となる事象についてまとめて韓国マンガアニメーション学会で共同発表を行った。 福岡の謀朝鮮学校では校内の言語景観の写真を収集し、教員に対して簡略なインタビューを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
朝鮮学校コミュニティの書き言葉に関する資料を多方面から収集し、今後の研究発展に向けてのデータの充実化を図ることができ、書き言葉の使用様相の全体像についてある程度把握することができた。雑誌イオやセセデのデジタル化は作業が進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
在日コリアンの多様なエスニック・メディア(漫画や新聞を含む)における言語様相について、カタカナ朝鮮語を中心にさらに分析を深め、後半期に論文としてまとめて投稿する予定である。オノマトペや敬語使用様相についても後続研究の可能性について調べる。 ただし、2023年度から韓国政府が総聯関係者と韓国住民の接触をきびしく管理しており、朝鮮学校を研究する目的で朝鮮学校を訪問しようとする研究者たちの申告が受理拒否されことが多くなってきている。そのため、フィールドワークやインタビュー調査などの実施は困難が予想され、主に書き言葉資料を中心に研究を行っていくことが予想される。
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Causes of Carryover |
研究を進めていく中で、計画当初より多くの関連雑誌と書籍の存在が分かった。それらの資料は20~30年以上前のもので入手困難なものも含まれるため、それらの所在を調べたり古書店を回る旅費が追加で必要になってくる。資料を早めに多く入手し、それらを分析する時間をより長めに確保する目的で前倒し支払請求を行った。 また、関連書籍や雑誌の種類が当初予想していたより多く存在することが分かったため、話し言葉の資料を追加で収集しようとした当初の計画を変更し、書き言葉資料をより充実に集めて書き言葉のみに焦点を当ててより深く分析を試みようとしている。したがって、当初予定していたインタビュー等に係る旅費と人件費、謝金などが減るため、後年度の交付予定額を減額しても研究目的を達成することができると考えられる。
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