2023 Fiscal Year Research-status Report
対人援助場面の対話通訳における通訳者の自発的発言「詳細質問」に関する会話分析
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22K13120
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
飯田 奈美子 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 研究員 (60896885)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 通訳行為 / 会話分析 / 受け手性 / マルチモーダル分析 / 詳細質問 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度の研究では、聞き手時の通訳者の身体の配置や振る舞いを分析、整理した。それによりレリバントな通訳者の身体性がどのようなものかについて見通しをもつことができた。特に、通訳者の聞き手性(患者発話の場合)について、事例分析をし、類型化ができた。通訳者の聞き手性は「通訳のホームポジション」からの逸脱があることにより、どのような相互行為上のトラブルに対処しているかを明らかにした。「通訳のホームポジション」は、聞き手において相互行為的基盤が組織化されるものである。それは通訳者の受け手性を示すもので、Heath(1982: The display of recipiency: An instance of a sequential relationship in speech and body movement, Semiotica 42(2/4):147-167. )の利用可能性の表示と受け手性の表示を兼ね合わせたものである。通訳のホームポジションは発話の聞き取りの準備ができている、または聞き取りができかつその内容を訳出するために理解できていることを提示する。看護師発話において、相互行為上のトラブル(患者の反応が薄い場合など)が発生した時に、「通訳のホームポジション」から逸脱して、受け手性を表出し行為の受け手になる。患者発話においても、患者が看護師発話の受け入れを行わないときに、患者に視線を向けたり(「有標化」図3)、「ou::なるほど」と発話をして、どのように患者発話を受け取ればいいかを指南する(「インストラクション」図4)ことが観察した。このような通訳者の行為には、通訳者が利用できる資源をうまく利用して、その場のコミュニケーションの進行性をやりくりしながら、コミュニケーション目標達成にむけて指向した行為だということがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの進捗状況は、おおむね順調に進んでいるといえる。通訳行為における通訳者の身体の動きを中心に通訳行為のレリバントについて分析をし、その結果を学会発表、論文投稿することができた。今後は、通訳行為のレリバント性や通訳者の受け手性や話し手性における身体の動きについてさらに事例を集めながら分析を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
課題1.通訳実践において通訳者の身体性がいかに活用されているかの解明 通訳者が看護師発話の聞き手になっている場合は、①訳出準備を提示するフレーム(通訳のホームポジション:メモをとる)を参与者に与えていることが分かった。このフレームを基礎とし、会話の中で局所的に発生したトラブルを解決するために、②受け手としての行為を行うことを明らかにした。患者発話の場合は、看護師発話とは異なる身体性を提示する。上記①は基本となるが、看護師発話と比べて患者の発話が理解できていることを、より積極的に提示する。話の繰り返し(確認)、視線を患者にむける、うなずきを多く行うなどが観察されている。2024年ではこのような身体性がどのような意味を持っているかを分析し、より精緻に類型化していく。通訳者の話し手性(訳出・自発的発言)は、原発話が何を達成しようとしているかによって、身体性が異なると考える。例えば、質問-回答、助言-受諾/拒否のような隣接対のどれかにより、通訳者はそれがわかるような身体性の提示を行うと仮説を立て、2024 年度はデータを分析していく。 課題2.様々な位置でどのような詳細質問を行っているか通訳データから詳細質問を抽出し分類する。 特に①看護師の質問の後の位置、②看護師の評価等の後の位置、③看護師の評価等の活動の後に、連鎖が拡張し患者等が発話した後の位置の詳細質問を抽出し、位置と構成によってどのような行為の達成にむけて指向しているかを分析し、上記分類以外の項目について考察する。また、さらに、詳細質問の生起において通訳者の身体性がいかに活用されているかを解明する。詳細質問が挿入連鎖や修復的機能を持ち合わせている場合、通訳者が視線やうなずき等を用いてその行為を「今、ここで」で行う合理性を示すことが考えられる。身体性を利用することで詳細質問の生起がどのように可能になっているか分析する。
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Causes of Carryover |
2023年度は新規病院での調査を予定していたが、相手先の理由で調査を行うことができなかった。2024年度は、別の機関に調査依頼をしており、理事会の了解もとれている。2024年度では調査計画も立てており、順調に調査を行うことができると考えている。
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Research Products
(4 results)