2022 Fiscal Year Research-status Report
Orthographic investigations of writing system reform movements in the Meiji 10s
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22K13129
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
岡田 一祐 北海学園大学, 人文学部, 講師 (80761220)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 国字改良論 / 送り仮名 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、資料整理の不充分な明治一〇年代の国字改良論についての言語学的な分析を行うこととしている。そのため、初年度は、国字改良論についての資料収集を行うこととし、また若干の資料調査を行った。 資料整理については、これまでは、かなのくわい機関誌の収集などを行ってきたが、本年度は、それにくわえて、羅馬字会にかんする資料、そして関連する印刷技術や昭和期の国語改革まで見据えた資料収集を行った。資料の整理をつうじて、国字改良論における課題の変遷を数量的に明確にするため、今後は資料収集にくわえ、記事目録の作成などを行っていきたい。 このほか、あたらしく国立国会図書館から近代資料を中心としたOCRデータから生成されたn-gramデータベースが提供されたので、国字改良論にどれほど活用できるか検討を行うため、てはじめに送り仮名の変容についての調査を行った。OCRデータにもとづくn-gramデータベースというものの性質上、過剰検出や過小検出の問題は避けて通れないが、それでも注意をもって使用すれば歴史研究に堪えることを示し得た。 また、大日本印刷の運営する本と活字館において、大日本印刷の使用した活字の調査を行い、どれほどの変体仮名活字が残存するかを中心に検討を行った。前稿において指摘した、濁点仮名活字整備の不均衡がここでも確認できたという点をここで特筆しておきたい。これは、かならずしも明示的に語られない国字改良論者たちの認識基盤をあきらかにするという意味で重要な取組みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していたことを実施し得たと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、整理とそこでの形態論的な認識を扱うこととしている。さきに述べたn-gramデータベースのデータを強力な補助材料として、論と実際の相違点を確認していきたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍によって国際学会等に旅費が発生しなかったため次年度使用額が発生した。次年度は、国際学会も現地開催に復すなどするため、それに応じて必要な資金使用を措置していく。
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