2022 Fiscal Year Research-status Report
A Study of English Resultative Constructions with a Focus on their Result Phrases
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22K13136
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
浅井 良策 豊橋技術科学大学, 総合教育院, 准教授 (30909106)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 結果構文 / 結果句 / 意味フレーム / 多義性 / 間接使役 / 動詞の記述性 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度においては、主に結果句として機能するinto trouble, out of a job, awakeの分析に焦点を絞り、共起する動詞や構文全体に対してそれらがどのような意味解釈上の影響を与えているのかについて調査した。 まず、into troubleは [困難/危険]と[非難/処罰]という二種類の意味フレームを、out of a jobは[雇用]と[責務]という二種類の意味フレームをそれぞれ喚起することを指摘した。そして、共起する動詞が[非難/処罰]と[雇用]におけるフレーム要素の役割に情報を書き込むという概念的依存関係を認める分析を提示した。この分析によって、これらの結果句がそれぞれ同一の動詞と共起した際でも、結果状態が成立する時間的推移過程や動詞の表す行為に関して複数の意味解釈が可能であることのメカニズムが説明された。 結果句awakeについては、先行研究において物理的forceを表す動詞と共起するものとしてしか認識されてこなかったが、COCA コーパス調査によって、ある程度の頻度で心理的forceを表す動詞とも共起することを明らかにした。このような心理的forceが関わる事例の観察を通して、結果句awakeには「眠りからの目覚め状態」という基本的な意味に加えて、新たに「覚醒状態の強化」「無知からの目覚め状態」「機能的活性化」という3種類の意味の存在が確認されることになった。尚、ここでの心理的forceが関わる事例にはstartleやshockのような心的刺激そのものを語彙化した動詞だけでなく、shakeやnudgeなどの物理的forceが心的刺激を表す動詞として解釈されているものも含まれるが、このような解釈が誘発される要因として結果句awakeの意味が少なからず関与していると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
個々の結果句の特性に着目し、それらが生起する結果構文の「構文的意味」に多様性が存在することを明らかにしてきたが、この多様性の構造やそれを生み出すメカニズム自体については、まだ十分な解明に至っていない。本研究では、「動詞と結果句によって喚起されるそれぞれの意味フレーム間の活性度の相違」という観点から分析を試みてきたが、この特徴づけによって先行研究でほとんど分析されてこなかった「間接使役関係」や使役関係自体が認め難い「時間的推移」を表すタイプの成立をどのように規定できるのかさらに考察を深めていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは、「動詞と結果句によって喚起されるそれぞれの意味フレーム間の活性度の相違」という観点に基づき、結果句の意味フレームの活性度が高いタイプの分析を行ってきた。これらの事例は、結果句の意味情報の比重が高い分、同時に、動詞の意味情報の比重が低いと言える。そこで、今後の研究では、見る角度を少し変えて「動詞の記述性」(Snell-Hornby 1983)の観点から、動詞の記述性が低い心理的forceが関わるタイプや「間接使役関係」を表すタイプの分析を優先的に進めていきたいと考えている。結果構文が描写する「使役関係」という概念は原因事象(causing subevent)と結果事象(caused subevent)という二種類の下位事象を構成すると見なされており、一般には動詞によって原因事象(causing subevent)についての情報が明示的に提供される。しかし、心理的forceが関わるタイプや「間接使役関係」を表すタイプでは、動詞が原因事象(causing subevent)の中身をそれほど明示的に表現するわけでないため、そこでは結果事象(caused subevent)を表す結果句の構文文全体に対する意味的貢献をより明確に確認可能となると思われる。
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Causes of Carryover |
2022年度はコロナ渦で参加しようとした学会が全てオンライン開催となり、旅費を支出することがなかったため、その分次年度使用額が生じた。本年度は、日本認知言語学会(2023年9月2,3日 於桜美林大学)、英語語法文法学会(2023年10月21日 於桜美林大学)、日本英語学会(2023年11月4,5日 於東京大学)に対面で参加する予定である。また、The 16th International Cognitive Linguistics Conference Conference(2023年8月7-11日 Heinrich Heine University,Dusseldorf)にも参加予定である。 設備備品としては、PC-A2797DABデスクトップパソコンLAVIEA27、CZUR ET16 Plus(USB)ドキュメントスキャナー、カシオ電子辞書エクスワードXD-SX20000、Kindle Scribeを購入予定である。他にも消耗品としての図書購入、英語論文の校閲費用、東京言語研究所理論言語学講座の受講料、データーベース(BNC online)の契約料などに助成金を使用する予定である。
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Research Products
(3 results)