2023 Fiscal Year Research-status Report
英文読解における「中心性効果」に関するメカニズムの解明
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22K13163
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Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
木村 雪乃 獨協大学, 法学部, 准教授 (40779857)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 英語教育 / リーディング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本人英語学習者のテキスト理解における中心性効果 (中心的情報は、周辺的情報に比べて再生されやすい) について、そのメカニズムと関連する諸要因を調べることである。 本年度は、これまでに収集したデータについて統計的な分析を行い、得られた結果を読解研究や心理言語学の理論に基づいて解釈した。日本人英語学習者の読解における、読みの目的とテキスト情報の中心性の交互作用を調査した実験の結果から、学習者のテキスト理解には読みの目的とテキスト情報の中心性の両方が反映されていることが示された。一方で、それぞれの要因は読解中の異なる時点 (e.g., 読解の初期処理、後期処理) に作用している可能性も示唆された。今後は、この可能性についてより詳しく検討するために、読解中のプロセスを直接的に観察する測定方法を用いた実験も実施する必要がある。 また、本年度は、今後の実験実施に向けて実験マテリアルの収集と実施するタスクの検討も行った。実験マテリアルについては、先行研究で使用されたものを収集し、日本語を母語とする英語学習者向けに改編を行った。タスクについては、要約タスクに関する先行研究を精査し、タスクの実施方法や採点方法等について検討を行った。今後はこれらのマテリアルとタスクを用いた実験を実施し、タスクパフォーマンスが高い読み手/低い読み手の読解プロセスの特徴を明らかにするための実験を行う予定である。 本研究は、読み手・テキスト・タスクの観点から読解を多角的にとらえ、英語学習者の読解メカニズムを説明できる点で意義がある。また、今後行う実験の結果と総合して、テキスト理解度やタスクパフォーマンスを向上させるための効果的な指導法について具体的な示唆を得ることを目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初はタスクパフォーマンスが高い読み手/低い読み手の読解プロセスの特徴を明らかにするための実験を行う予定であったが、実験マテリアルの選定とタスクの検討に想定よりも時間を要したため、実験を実施するための準備を整えることはできたが、実験を実施してデータを収集する段階までは至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、テキスト読解中の読解時間や眼球運動を測定することにより、タスクパフォーマンスが高い読み手/低い読み手の読解プロセスの特徴を調べ、テキスト情報の中心性と読みの目的の影響がどのように反映されるかを調べるための実験を行う。
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Causes of Carryover |
今年度実施予定だった実験を来年度以降実施するため、その出張旅費や協力者の謝礼として助成金を使用する必要がある。 また、今年度参加した国際学会(The 33rd Annual Meeting of the Society for Text and Discourse等)は対面とオンラインのハイブリット形式で実施されたため、オンラインで参加することが可能であったが、今後他の国際学会の発表に採択された場合、対面での参加を予定しているため、そのための旅費に助成金を使用する。
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Research Products
(3 results)