2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K13164
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Research Institution | Kanda University of International Studies |
Principal Investigator |
申 知元 神田外語大学, 外国語学部, 講師 (40908315)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 韓国語教育 / 異文化理解教育 / 日韓比較文化調査 / クリティカル・インシデント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本の韓国語学習者を対象とした異文化理解教育の構築である。具体的には、日韓比較文化調査に基づいた異文化理解教育の内容の確立と異文化トレーニングの手法を適用した教育手法の提案を目指している。令和4年度には、以下の3つについて研究を行った。 (1)日韓比較文化調査のデータを再分析し、日本と韓国の対人コミュニケーションにおける文化的な差異を体系化した。第88回日本応用心理学会においては「対人コミュニケーションにおける韓国の文化特定性の検討――援助行動を中心に――」を発表し、援助行動に対する韓国の文化特定的な認識や行動様式の差異を多角的に検討した。また、第13回日本韓国語教育学会では、「日韓対人コミュニケーションを題材としたクリティカル・インシデントの開発」を発表し、クリティカル・インシデントの作成内容と手順について提案した。 (2)半構造化インタビュー調査を実施した。日本と韓国で1年以上の長期滞在の経験のある人20名(韓国人11名、日本人9名)を対象とした半構造化インタビューを行い、個人レベルで認識されている日本と韓国の文化的な差異を明らかにすることができた。 (3)文献調査を行った。日本と韓国で出版された韓国語の教材を収集し、韓国文化をどのように取り入れているのかを検討した。また、異文化トレーニングに関する先行研究を検討し、クリティカル・インシデントの作成手順や利点・限界などをまとめた。 令和5年度には、半構造化インタビュー調査の逐語録のテーマ分析、半構造化インタビュー調査の結果を基とした質問紙の作成、日本人と韓国人を対象とした質問紙調査の実施を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和4年度に実施した半構造化インタビュー調査は、雪だるま式サンプリングを用いて実施した。その結果、研究参加者の属性に偏りがあることが確認された。データを分析しながら、改めて研究参加者を募集して半構造化インタビュー調査を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度に実施した半構造化インタビュー調査の研究参加者の属性に偏りが生じている。令和5年度前期には追加の半構造化インタビュー調査を実施する予定である。また、令和4年度に収集した半構造化インタビュー調査のデータをテーマ分析を用いて、分析する。 その後、日本と韓国で20代から40代を対象とした質問紙調査を計画している。質問紙調査を行うことによって、半構造化インタビュー調査から導かれた韓国の文化特定的な側面が韓国社会で共有されているのか、韓国社会と日本社会は異なる価値観を有するのかが確認できる。
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Causes of Carryover |
半構造化インタビュー調査の参加者の偏りからデータ収集が遅れているからである。また、コロナ感染症により海外で開催される学会への参加ができなかったためである。 令和5年度に新たな参加者を募集し、半構造化インタビュー調査を実施する予定である。
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