2022 Fiscal Year Research-status Report
英単語学習における語源学習の処理と効果:語彙・学習者要因を踏まえた学習方法の提案
Project/Area Number |
22K13173
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
鈴木 健太郎 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (40757134)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 語源学習 / 意味的透明性 / 学習者要因 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は英単語の語源学習が自己方略学習と比較して効果的かを,形態素の意味的透明性を観点に検討した。実験では,日本人大学生が8つの英単語を,(a) 透明性の低い語に対する語源学習 (e.g., abstain「控える」 = ab-「~から」+ -stain「保つ」,(b) 透明性の高い語に対する語源学習 (e.g., conspure「団結する」= con-「共に」+ -spire「息づく」),(c) 自己方略学習 (e.g., mangle「台無しにする」) の3つの条件それぞれで4分間学習した (協力者内デザイン)。直後と遅延テストの結果,語源学習は自己方略学習よりも効果的であることが示された一方で,意味的透明性による効果は見られなかった。学習者要因の影響としては,語彙サイズが大きいほど学習の効果が高いことが明らかとなった。意味的透明性の効果が見られなかった理由としては,1語当たりの学習時間や遅延テストの時期の影響などが考えられた。 加えて,上記の研究の限界点 (実際には知らない形態素の理由) を克服するための追試 (2023年度実施予定) に向けての予備調査を実施し,具体的な手順や事前学習の時間などについての手法を固めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定した語源学習の効果を検証する実験を実施することができたため。また,2023年度実施予定の予備調査の一部を2022年度に実施することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度以降の予定としては,2022年度の実験の追試を実施する。これまでの研究では,目標語に含まれる形態素は実際には未知であるが,学習時とテスト時ともに形態素とその意味を提示することで実験的に既知の形態素として扱ってきた。今後は,実際に学習者に形態素を学習してもらうなどの方法をとることでecological validityに考慮した調査を行う (2022年度に予備調査実施済み)。加えて,意味的透明性に対する学習者の実際の知覚と学習効果の関係を検証していく。 当初の予定の変更点として,学習方略全般と語源学習時の処理や成果の関係を検証していく予定であったが,協力者の負担などを考慮し,本研究に関連する方略 (e.g., 語源学習の頻度) に絞った検証をしていく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウィルス感染状況および個人の健康状況を鑑み,海外出張をキャンセルしたため。
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