2023 Fiscal Year Research-status Report
戦後ハンセン病療養所における入所者運動の成立―長島愛生園を事例に―
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22K13199
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松岡 弘之 岡山大学, 社会文化科学学域, 准教授 (30877808)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | ハンセン病 / 戦後民主主義 / 社会運動 / 自治 / 地域社会 / アーカイブズ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も引き続き(1)国立療養所長島愛生園歴史館(岡山県瀬戸内市)が所蔵する同園入所者であり入所者運動の中心的な人物であった島田等の関係資料、および(2)社会福祉法人洗心会(宮城県気仙沼市)が所蔵するハンセン病回復者である鈴木重雄の関係資料という2つの資料群を中心とした調査に取り組んだ。(1)は今年度確認された資料も含めて全35箱となるものであるが、研究課題との関係では、戦後になりそれまでの療養所や自治会のあり方を厳しく批判して入所者運動の担い手となった森田竹次、および森田とともに活動に取り組んだ島田等が1940年代以降に作成した手帳・ノート類が注目される。本年度はこれら約130点の撮影をほぼ完了することができた。(2)については、代表者が借用中の資料についての目録化を進めるとともに、9月に洗心会で実施した調査で現地に残る文書の目録化を進めたことで、おおよその全体像が確認できつつある。(1)については1980年頃に実施された入所者へのインタビュー音源、(2)では35mmフィルム約1800コマ分のスキャンを完了した。 なお、本年度はこれら国立病療養所が所蔵するハンセン病問題に関する歴史資料の保存と活用に関する議論に参画する機会を得た。特に療養所に保存されてきた運営に関する記録について公文書管理法との関係や今後の活用に向けた理論的・実践的諸課題について医学・歴史学・アーカイブズの関連学会にて報告し、その成果を論文として公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に推移している。島田等資料については膨大な記録であることが判明しつつあり、研究課題との関連で調査順に注意しながら取り組んでいる。洗心会所蔵鈴木重雄関係資料についても書簡群を中心とした内容の把握が着実に進展しつつあるといえる。また、長島愛生園の神谷書庫などにおける入所者作成の記録も調査を継続しており、これらと並行して研究課題にそくした問題の枠組みの把握と新規論点の抽出にも着手している。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス感染症の感染症法上での取扱いが変更となったことから各方面への資料収集や打ち合わせなどにも取り組みやすくなった。主たる資料所蔵先が高齢者施設であることから感染対策等について細心の注意を払いつつ、今後も資料調査を継続する。なお、目録そのものも研究成果の一部となるもののここにも個人情報が含まれるため、その取扱については資料所蔵先と調整しつつ活用の基盤整備にあたる。また、音声や画像といった多様な資料が確認されたことから、それらの特性にそくした総合的に分析する手法や、保存活用にむけた実践的課題に取り組みつつ、入所者運動の枠組みの把握やそこでの論点の整理にも力を注いでいく。
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Causes of Carryover |
資料整理補助のために雇用した技術補佐員が体調不良となったため、年度当初に見込んでいた人件費が執行できなかった。次年度の人件費として執行する見込みである。
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Research Products
(7 results)