2023 Fiscal Year Research-status Report
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22K13214
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Research Institution | Saitama Gakuen University |
Principal Investigator |
井上 正望 埼玉学園大学, 人間学部, 講師 (40896362)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 天皇 / 古代・中世移行期 / 都城 / 平安京 / 神器 / 剣璽 / 境界祭祀 / 四角四界祭 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、古代中世移行期における平安京内外の空間認識に関する史料収集を行うとともに、当該期の天皇と密接に関わる神器、特に剣璽に関する研究を発表することができた。 特に当該年度は論文を2本発表した。具体的には、「天皇の二面性とその分化明確化過程」(『摂関・院政期研究をよみなおす』所収)と、「古代・中世移行期における神器と天皇」(『日本書紀の成立と伝来』所収)である。 このうち前者は、2022年に刊行した拙著『日本古代天皇の変質―中世的天皇の形成過程―』を踏まえつつ、摂関期から院政期にかけての過渡期の時期における天皇に関する研究史をまとめるとともに、今後の展望についても述べたものである。また後者は、2022年に2022年度日本宗教史懇話会サマーセミナーにて行った、「古代・中世移行期における神器と天皇―剣璽を中心に―」と題した口頭報告に基づき執筆したものである。特に後者では、治承寿永の内乱で、平家の都落ちの際に平家に連れていかれた安徳天皇について、なぜ後白河院や朝廷側が安徳を廃位できなかったか(後白河院らは平家の都落ち後に後鳥羽天皇を新たに立てたことから、安徳・後鳥羽の2人の天皇が並立することとなった)という点を、その約40年後の承久の乱で、鎌倉幕府によって廃位された九条廃帝(仲恭天皇)と比較することで、天皇の二面性という筆者がこれまで取り組んできた題材から明らかにできたと考える。その他、2022年度中に脱稿していた、「古代・中世移行期の天皇と境界の祭祀―四角四界祭を題材に―」も、無事刊行することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度から専任職に就いた関係で、授業準備や校務に追われ、当初予定していたほどは研究を進めることができなかった。そのため、「やや遅れている」とした。2024年度が最終年度であることから、空間認識に関わる史料整理を急ぐとともに、その変化・実態解明に向けて研究を進めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
本来2023年度に行う予定であった、院御所が平安京内・京外に置かれた例を網羅的に調査し、院の境界認識を検討するという作業を引き続き行う。また、当初の予定であった平家政権や鎌倉幕府にも対象を拡大し、武士たちの認識も含めて検討するという点も並行して実施したい。 併せて旧平安京の内外に関わる実地調査を行う。特に当該期の院らが、京外どころか畿内からすらも出ていくことになる高野詣・熊野詣を非常に頻繁に行ったことについて、京の内外が意識される中において、あえて遠方へと出ていく意義も関連があると考える。2023年度にも熊野詣ルート実地踏査を試みたが、残念ながら折からの台風の影響で十分なものにはできなかった。従って改めて実地踏査を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は、昨年度に引き続き平安京内・京外という境界に関する人々の認識調査を、貴族の日記を中心として網羅的に行うとともに、その調査史料の購入や写本等の実見調査を実施することとしている。併せて、昨年度行うことができなかった旧平安京の地勢的調査として、実地調査も行う予定である。これらによって、調査費用等で次年度使用額が発生することとなった。
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Research Products
(2 results)