2023 Fiscal Year Research-status Report
Reconstructing the Social Behavior of the Neolithic Societies in the Near East from the Perspective of Death and Mortuary Rituals
Project/Area Number |
22K13236
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
Jammo Sari 筑波大学, 人文社会系, 研究員 (80929167)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 新石器時代 / 埋葬儀礼 / 頭骨外 / 土偶 / ジャルモ遺跡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、先土器新石器時代Bと土器新石器時代における新石器社会の変遷を、主に頭骨外しという埋葬儀礼の観点から明らかにすることを目的とする。頭骨外しの埋葬儀礼の証拠は、レバントとアナトリアの多くの新石器時代の遺跡で発見されているが、肥沃な三日月地帯の東翼から発見された証拠はほとんどない。2022年度と2023年度にジャルモ遺跡の発掘調査に参加し、6体の人骨を発見した。そのうち5体は頭蓋骨片や長骨などの骨片であり、2023年に1体のみ、残りの良い人骨であった。 SK1とSK6は、JT Square、SK2とSK3はJ-IIC Square、SK4、SK5はJ-IIC Square北西から発見され、先土器新石器時代Bのものであった。SK4は、J-IIC NW Squareの北西壁近くの第8層の下部で発見された成人の頭蓋の断片である。頭骨は白黄色の床面の隅に埋まっていた。床面の残り部分は発掘範囲外にあるため、頭骨と床面との詳しい位置関係は不明である。頭骨の残り半分、その他の骨格部分は欠損していた。埋葬形態の特定は現時点では困難であるため、不明とした。 特筆すべきは、頭骨の近くから約25個のカタツムリが見つかり、葬儀に関連して意図的にこの場所に持ち込まれた可能性が高いということである。 ジャルモ遺跡における埋葬儀礼を理解するために、さらなる研究が行われる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度のジャルモ発掘調査において、2つの人骨の遺構が発見され、関連する調査が行われました。レバント地域の他遺跡のデータも収集した。2023 年度の調査で出土した遺物のうち、84 点もの土偶・土製品が第 6―11 層の各層から発見された。文化財局の許可のもと、研究とクリーニングと修復措置のため、5点をイラク・クルディスタンから日本に持ち帰った。そのうちの1点は、赤色のオーカーが付着していると思われる。 出土人骨、人物や動物を模した土偶・土製品などは、ザグロス山脈地域の新石器時代の儀礼を考える上での貴重な資料となる。これらの調査成果に基づいて、新石器時代の生活の様相の考察を深めることができるため、研究は順調に進展していると考えている。 今年度の研究結果は、米国で開催された2023年ASOR年次総会の国際シンポジウム、デンマークにて開催された第13回古代西アジア考古学国際会議、日本で開催された第31回西アジア発掘調査報告会で発表した。また、Al-Rafidan Journal および第 31 回西アジア発掘調査報告会報告集に投稿・掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、研究はおおむね順調に進展しているため、大きな修正を加えることなく、このまま研究を続行する。ジャルモ遺跡から発見された人骨・土偶などの遺物から、新石器時代の葬送習慣及び儀礼を理解することができるだろう。 ジャルモ遺跡発掘調査から発見された人骨の数は限られており、肥沃な三日月地帯の東翼における新石器時代の埋葬儀礼を理解するためには、より多くの事例が発見されることが望ましい。しかしながら、2023年度に出土した大量の土偶とその他の土製品は、新石器時代村の生活や儀礼を別側面から考察する手がかりとなる。 そこで、2024年度の科研費と2023年度再繰越科研費により、新石器時代における土偶・土製品を理解するための集中的な研究を行う。一方、イラク・クルディスタンから日本に持ち込まれた土偶についても胎土分析などの科学的研究を行い、土偶の製造方法やパターンを明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
2024年度は、6月~7月にイラク・クルディスタン、8月~9月にヨルダンで発掘調査に参加する予定。イラク・クルディスタンのチャルモ遺跡では限定的な発掘調査を行う予定であり、次年度使用分は渡航費と発掘の人件費に使用する予定である。
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[Journal Article] Preliminary Report of the Charmo (Jarmo) Prehistoric Investigations, 20232024
Author(s)
Akira TSUNEKI, Saber Ahmad SABER, Nobuya WATANABE, Roy ANMA, Sari JAMMO, Mariko MAKINO, Yuko MIYAUCHI, Kirsi. O/ LORENTZ, Yu ITHASHI, Minoru YONEDA, Masanori Kurosawa, Kei IKEATA
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Journal Title
al-RAFIDAN
Volume: 45
Pages: 1-47
Int'l Joint Research
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