2023 Fiscal Year Research-status Report
モンゴル人の越境する生活戦略と都市空間の再帰的関係
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22K13250
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
松宮 邑子 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (90885435)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 国際移動 / 生活戦略 / 就労 / 留学 / モンゴル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,モンゴル人が生活戦略として実践する海外での就労と留学の2つのトランスナショナルな移動に着目し,生きられた経験としての移動と,移動の発着点であるモンゴル・ウランバートルの社会・経済・空間との再帰的関係を明らかにすることを目的とする. 今年度も,昨年度に引き続き日本への留学生・留学経験者へのインタビュー調査を主な活動とした.日本では,現在日本の企業で就労する者,あるいは日本で起業した者を対象とし,日本留学のきっかけや日本での生活のほか,留学期間終了後の就職や帰国の選択などを中心にライフヒストリーを聞き取った.モンゴルでは,日本への留学経験をもつ者を対象とし,企業に勤める人,起業した人,教育機関に努める人等に対し,留学の発意や経緯などに加え,帰国後に留学経験がどのように活かされているか/いないか,等を聞き取った.今年度,日本・モンゴルの双方での聞き取り時に焦点をあてたのは,「留学生から社会人になる時」の身の振り方であり,帰国をめぐる意思や判断のあり方である.日本にいる人と帰国した人とに聞き取ることで,メリット・デメリット,それに換言されない複雑な心的背景を見出すことができた.昨年度までに得られた情報とあわせて内容を整理し,学会での報告に注力した. 加えて,日本―モンゴルの両国関係,人的交流に焦点をあて,地方の親善協会や県・町村レベルの交流などのローカルな交流のあり方を参与観察した.こうした草の根的な活動の継続性は,マクロな両国関係を考える上でも鍵になることが見出された.上述の内容を掘り下げる上でも,ローカルな取り組みに対しても継続的にかかわる必要がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度からインタビューの対象者の属性を広げることができたことで,日本―モンゴルをめぐる移動の実態把握が進んだ.また続けて学会報告を行ったことで,これまでの情報を整理すること,不足情報を把握することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
課題の折り返しということを意識し,成果の発信に注力する.具体的には,23年度内に行った学会報告の内容を査読付き論文として投稿することを目指す. 調査事項としては,就労に焦点をあてる.これまでの研究では留学経験者の行動に焦点をあててきたが,就労希望者・経験者に対象を変えることで,日本―モンゴルの移動にかかわる相違点を明らかにする.加えて,家族滞在にも焦点をあて,滞在・帰国をめぐる判断や行動を分析したい.
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