2023 Fiscal Year Research-status Report
農山村の防災・減災に向けた地域類型と地域内知識に関する基礎的研究
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22K13257
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
寺床 幸雄 立命館大学, 文学部, 准教授 (90757767)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 農山村 / 地域類型 / 社会関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、昨年度に引き続き実証研究および理論的検討を進めた。実証研究に関して、地域の防災・減災に関する基礎的状況を検討するために、農山村の集落を研究対象地域として聞き取り調査を実施した。具体的には、農山村に居住する高齢者を対象として、これまでの災害の発生状況と当時の対応について把握した。各世帯のおかれる状況は、家族構成や家屋の位置など様々な要素と関連していた。また、災害時に地域内でどこにリスクがあるかというミクロな地域的知識を聞き取りした。こうしたミクロな地域的知識は、公的な防災・減災対策を実行する際にも重要であると考えられるため、引き続き調査によって詳細に把握する。さらに、地域類型を議論するための小地域統計の活用方法についても検討を行った。とくに、農業集落カードの2020年のデータを過年度の情報と比較し、長期的分析の可能性を考えた。現地調査の結果をふまえて、農山村の社会的・空間的再編をふまえた地域類型のあり方を今後も検討していく。 理論的検討については、英語圏の文献および国内の村落に関する歴史学的研究の読み込みを行った。英語圏の文献では、とくに農村開発や農村のコミュニティに関する研究について、地域の社会関係との関わりから研究動向を把握した。村落の歴史学的研究については、地域の小地域集団が形成される背景となった歴史的経緯を把握し、その現代的な意味について考えた。これらの検討をふまえ、防災・減災と関連する地域類型のあり方と地域内知識の位置づけについて今後も検討を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた実証研究および理論的検討はおおむね実施することができた。とくに、具体的な現地調査により今後の研究の見通しを得られたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
理論的検討について、日本の農山村のおかれた状況を深く理解するために、国際的な比較も視野に入れた検討を進める。また、国内での現地調査や統計のデータ分析も継続し、最終的な研究成果のまとめにつなげる。
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Causes of Carryover |
調査に関わる旅費および資料購入費用が予定より少なかったため次年度使用額が生じた。次年度は引き続き現地調査と参考資料の購入により研究費を適切に使用する予定である。
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