2023 Fiscal Year Research-status Report
国家責任法の歴史的展開の再検討ーー国家責任法論の新たな基礎構築のためにーー
Project/Area Number |
22K13288
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
開出 雄介 北海道大学, 公共政策学連携研究部, 准教授 (50902714)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 国家責任法 / 国際法の基本構造 / 基本権 / 約束 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、外交的保護の歴史的展開の検討を通じて明らかとなった、国家の基本権と約束という基本概念を踏まえて、国家責任法全体の歴史的展開を明らかにし、もって国家責任法の現在における全体像を提示しようとするものである。 今年度行うことができた作業としては、主に2点挙げることができる。すなわち、国家の基本権と約束という概念を踏まえた、国際法の様々な分野に関する歴史的検討、外交的保護に関する研究の公表に向けての作業である。 まず、研究第二年次である今年度は、国家の基本権と約束という概念を用いて、国際法の様々な分野を分析していく作業を行なった。初年度である昨年度には、主に国際法総論についての検討を行ったが、2023年度には、国際法の各論分野、すなわち、国際環境法、国際海洋法、国際人権法、国際経済法、国際刑事法といった分野について、国家の基本権と約束という視点からみるとどのように分析することができるかについて、検討を行った。 次に、これまでに行ってきた外交的保護の研究についても、公表に向けて必要な作業を進めた。具体的には、2022年度、外交的保護についての研究において、19世紀から20世紀に外交的保護の法的構造が転換したと論じたが、こうした展開がなぜ生じたのかについて、検討を進めたが、2023年度には、こうした検討を取りまとめることができた。2024年度には完成原稿を完成させることができる見込みであるので、引き続き検討を進めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上記のように、今年度は、国家の基本権と約束という概念を踏まえた、国際法の様々な分野に関する歴史的検討、外交的保護に関する研究の公表に向けての作業について、検討を進めることができた。 まず一点目の、基本権と約束を踏まえた国際法の様々な分野(主に国際法の各論分野)に関する検討については、当初の予定より検討することができた範囲は広かった。また、その検討の結果についても、予想より興味深いものをいくつか得ることができた。この意味で、当初の計画以上に進展していると評価できると思われる。特に国際環境法に関する考察については、問題意識を整理することによって、2024年度稲盛財団の研究助成に繋げることができた。今後は、稲盛助成による研究成果と当科学研究費による研究成果の相乗効果も期待できる。 二点目に関しては、具体的には、外交的保護についての国連国際法委員会の作業の再検討と、歴史的な素材を用いて、19世紀から20世紀にかけての外交的保護の構造転換の理由についての検討を行ったものであるが、特に後者について、予想していたより興味深い結果を得ることができた。この意味でも、当初の計画以上の研究を進めることができたと評価できると思われる。2024年度には、外交的保護についての研究について、まとまった原稿に整理することができる予定である。 また、2023年度には、国際司法裁判所における外交的保護の判例についての判例評釈を著すこともできた。
以上の二点から、今年度の研究は当初の計画以上に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度、特に重要となるのは、外交的保護の研究について公表原稿を完成させることである。2022年度、2023年度と、外交的保護の研究を進展させることができたので、これを完成原稿の形に取りまとめたい。本課題研究の基礎となっている外交的保護の研究について公表し批判を仰ぐことによって、本課題研究についても大いに示唆を受けることができると考えている。
2024年度はさらに、国際法の各論分野についての検討も進めたい。国家責任法は、国際法のすべての範囲の規範が違反された場合の法的帰結に関わるものであるため、国家責任法について考察を進めるためには、国際法のそれぞれの各論分野についての非常に深い検討が必要であることが、検討を進めることによって、非常に明確になってきた。こうした点に留意しつつ、本課題研究を遂行したいと考えている。
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Research Products
(2 results)