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2023 Fiscal Year Research-status Report

Prozeduralisierung im Medizinstrafrecht

Research Project

Project/Area Number 22K13299
Research InstitutionKagawa University

Principal Investigator

天田 悠  香川大学, 法学部, 准教授 (90779670)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2026-03-31
Keywords刑法 / 医事法 / ドイツ / 手続化 / 正当化 / 終末期医療 / 臨床研究 / 臨床試験
Outline of Annual Research Achievements

〔本研究の全体像〕
本研究計画では、①まず、終末期医療と臨床試験の分野において近時注目を集めている「手続」の実態を正確に把握する。②次に、この2つの分野で問題となる「手続」の法解釈論上の機能と限界を明らかにするために、日本法と体系の近いドイツ法との比較を通じて、わが国にとり有意な比較法的示唆を獲得する。③以上を踏まえて、医事刑法学における、あるべき「手続的正当化」論の基本的枠組みを提示する。
〔令和5年度の研究内容〕
令和5年度は、上記で示した計画のうち、研究①および②を並行して遂行した。このうち特にリソースを割いたのが、終末期医療における「患者の意思」確認手続の比較法的検討である。すなわち、わが国では、いわゆるプロセスガイドラインの策定等を契機として、治療の中止・差控えの際に、患者の(推定的)意思をどのような「手続」を経て確認するかが問題となっている。この問題をめぐる状況は、世界中で刻々と状況が変化している。それゆえ、問題解決のためにはわが国の議論を検討するだけでは不十分であり、外国法の参照が不可欠となる。
そこで令和5年度の研究においては、日本と体系が近しいドイツ法を参照することにした。ドイツの刑法学説では、治療の中止・差控え行為を刑法上正当化する際に、民法典の手続規定を援用する立場が有力であり、ドイツの判例もこのような立場を支持している。わが国の先行研究には、このような、ドイツ民法の規定や個別の判例・学説を紹介する業績が複数存在するところである。しかし、患者の意思確認「手続」に焦点を当てて民法規定を分析し、その刑法理論的意義を解明しようとする先行業績は、ほとんど見受けられない。そこで研究代表者は、この点に先行研究上のリサーチスペースがあると考え、令和5年度の研究では、ドイツの臨死介助法制を包括的に検討し、これを規律する法的枠組みを析出することに軸足を置いた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

〔本研究の全体像〕で示した研究①および②のうち、終末期医療に関する成果として、天田悠「ドイツ・オーストリアの自殺関与違憲判決とその後の立法動向」佐伯仁志ほか編『刑事法の理論と実務⑤』(2023年、成文堂)229~265頁を公表する機会を得た。この論文の執筆過程で、ドイツの判例・立法動向はもとより、その隣国オーストリアの法改正も包括的に調査することができた。これは、本課題の遂行上、研究の視野をさらに広げることができたという意味で、大変有益な調査であった。また、臨床試験に関する成果の一部は、天田悠「ドイツにおける臨床研究の法的・倫理的ルールの現状と課題」甲斐克則編『医事法講座 第13巻 臨床研究と医事法』(2023年、信山社)305~327頁として結実している。なお、終末期医療に関するその他の成果は、後掲〔研究発表(令和5年度の研究成果)〕に掲げたものを参照されたい。
研究③に関しては、日本刑法学会第101回研究大会(2023年6月4日・5日に早稲田大学で開催)の(a)個別研究報告、(b)ワークショップ「医事刑法における手続化」において、刑事法研究者を対象に、私見の構想を報告する機会を得た。これらの報告の準備過程で、研究①および②に関する理解を深めることができたほか、研究大会当日は、フロアの先生方から大変有益かつ真摯なご質問・コメントを頂くことができた。なお、(a)に関する成果は、刑法雑誌63巻2号(2024年公刊予定)に掲載が決定している。また、(b)に関する成果は、拙稿「手続化論の現状と今日的課題」香川法学43巻1・2・3・4号(2024年)73~94頁として公表されている。
以上の理由から、令和5年度の研究には「おおむね順調に進展している」との評価を与えることとした。

Strategy for Future Research Activity

令和6年度においては、(1)過年度の研究から得られた成果を踏まえつつ、最終年度において「手続」履践・違背の解釈論的意義を明らかにするための準備作業を整えること、および、(2)そのために、比較法的に有意義な議論をストックすることを目標とする。
このうち、まず(1)については、終末期医療に関する調査を遂行する一方で、「手続」に関する全般的な理論構築を見据えた検討を進めることにする。具体的には、日本刑法学会の報告準備の過程で明らかとなった理論的課題一つひとつに丁寧に取り組み、それらの検討を踏まえて、「手続」の理論的基礎を扱う論文を執筆する。なお、論文投稿先は、中央大学・日本比較法研究所紀要『比較法雑誌』を予定している。
次に(2)については、本計画に関連する外国語文献の収集および精読作業を進める。このうち、研究遂行上有益な外国語文献については、翻訳を公表したり、文献紹介を執筆したりすることも予定している。また、この問題は法学・医学の先端領域に関わることから、文献調査だけでは把握しにくい研究上のポイントを掴むため、ドイツにおいて研究滞在を行い、現地の研究者と共同して研究を推進することも予定している。

Causes of Carryover

当初予定していた海外・国内出張の計画を中止したため。なお、余剰分は、図書等の購入費用に充当する予定である。

  • Research Products

    (6 results)

All 2024 2023

All Journal Article (2 results) (of which Open Access: 2 results) Presentation (2 results) (of which Invited: 1 results) Book (2 results)

  • [Journal Article] 手続化論の現状と今日的課題2024

    • Author(s)
      天田 悠
    • Journal Title

      香川法学

      Volume: 43.1・2・3・4 Pages: 73~94

    • DOI

      10.57372/0002000271

    • Open Access
  • [Journal Article] 〈翻訳〉専断的治療行為の適正な規制に向けて2024

    • Author(s)
      ドイツ刑事政策サークル(天田 悠 訳)
    • Journal Title

      香川法学

      Volume: 43.1・2・3・4 Pages: 171~194

    • DOI

      10.57372/0002000275

    • Open Access
  • [Presentation] 刑法における手続化2023

    • Author(s)
      天田 悠
    • Organizer
      日本刑法学会第101回大会 個別研究報告
  • [Presentation] 手続化論の現状と課題2023

    • Author(s)
      天田 悠
    • Organizer
      日本刑法学会第101回大会 ワークショップ「医事刑法における手続化」
    • Invited
  • [Book] 刑事法の理論と実務⑤2023

    • Author(s)
      佐伯仁志・高橋則夫・只木誠・松宮孝明 編集委員
    • Total Pages
      280
    • Publisher
      成文堂
    • ISBN
      978-4-7923-5394-0
  • [Book] 臨床研究と医事法 【医事法講座13】2023

    • Author(s)
      甲斐克則 編
    • Total Pages
      348
    • Publisher
      信山社
    • ISBN
      9784797212136

URL: 

Published: 2024-12-25  

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