2022 Fiscal Year Research-status Report
高齢期の法的課題への中高年者の予防的準備行動及びその支援に関する法社会学的研究
Project/Area Number |
22K13314
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山口 絢 早稲田大学, 高等研究所, 講師(任期付) (60940591)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 中高年者 / 準備行動 / 司法アクセス / 法社会学 / 法的ニーズ / 遺言 / 任意後見 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,高齢期の法的課題への中高年者による準備行動とその関連要因,およびそれに対する法専門家の支援状況を明らかにし,中高年者への司法アクセス支援アプローチの提言につなげることを目的としている . 初年度は,(1)関連する先行研究の精査を行い,(2)中高年者を対象とした量的調査(インターネット調査)を実施した.(1)まず,中高年者による高齢期の課題への準備行動に関して,法社会学,老年社会学,民事法学等における先行研究の整理を行った.先行研究における知見を踏まえ,(2)の量的調査でとくに質問する準備行動として,家族状況の変化や高齢化に伴いさらに重要になると考えられる,認知症等により判断能力が低下した場合への備え(任意後見含む)および将来の自身の財産の相続に向けた準備行動(遺言作成含む)の2点に焦点を当てることとした.そして,認知症等による判断能力の低下への備えおよび将来の自分の財産の相続をどうするかについての備えに関し,具体的な準備行動に関する項目を作成した.さらに,回答者の属性や家族の状況等,準備行動に関連し得る変数を項目に含めた.調査は調査会社を通じて登録モニターを対象に実施し,最終的に3154人の回答を得た.調査の基礎的な分析の結果,具体的な準備行動をすでに行っている回答者は相対的に少なかったが,将来的に正式な遺言書の作成,任意後見契約を行いたいと考えている回答者はそれぞれ約27%,約17% であった.また,上記2点に関する専門家への相談についても,未経験者のうち将来的に相談したいと考えている回答者が2割前後見られた.今後,回答者の傾向と属性や家族状況等との関連を中心にさらなる分析を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に予定していた中高年者を対象とした量的調査を実施し,基礎的な分析を終えたため.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,高齢期の法的課題への準備行動に関する中高年者への質的調査の計画,準備,実施,分析を進める予定である.合わせて,初年度に実施した量的調査についてさらなる分析を行い,国内外での成果発表を行っていく予定である.
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Causes of Carryover |
質問票の作成前にも質的調査を実施することを検討していたが,計画を見直し,量的調査後に質的調査をまとめて実施することとしたため,次年度使用額が発生した.次年度の質的調査実施にかかわる費用として使用する予定である.
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Research Products
(2 results)