2022 Fiscal Year Research-status Report
生殖補助医療およびヒト胚研究に対する法規制のあり方に関する比較法的検討
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22K13317
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原田 香菜 東京大学, 医科学研究所, 特任研究員 (90879826)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ヒト胚研究 / 生殖補助医療 / 凍結胚 / 14日ルール / 比較法 / 配偶子提供 / 出自を知る権利 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、ヒト胚を対象とする研究および生殖補助医療におけるヒト胚の取扱いについて、下記の調査研究を実施し、その成果の一部を学会等で報告した。 1) 日本国内における法令指針による規制の現状を整理し、ヒト胚研究・生殖補助医療実施に関わる行為規範について横断的な制定法を有する英国の制度・組織の沿革及び現状について、文献調査を行なった。その成果の一部を、シンポジウムで報告した。 2) 体外受精・胚移植を前提として生殖補助医療クリニックで凍結保管されるヒト胚について、その取扱いに関連して医療機関側の直面する課題と、挙児を望む夫婦・カップルの保管継続・治療終結をめぐる葛藤について調査・分析を実施し、その成果の一部について学会にて報告をおこなった。 3)体外受精後におこなわれる着床前診断の技術の現状、および新型出生前診断(NIPT)に関する制度の現状についての文献調査、産科医師を対象とした意識調査の分析をとおして、生殖・周産期に関する倫理的・法的・社会的な課題に対する検討をおこなった。 4)胎児に由来する組織の研究利用について、日本国内の状況と倫理的・法的・社会的な課題に関する調査をおこなった。 以上から、現在の日本における生殖補助医療に関連する法制度を整理し、提供配偶子により出生した子の出自を知る権利、成長後の継続的な支援をはじめとする「生殖補助医療により出生した子の福祉」に関する課題の検討をおこなった。また、本年度には上記本課題の調査と並行して、生殖補助医療の経験者を対象とした質問紙調査、および産婦人科医師を対象としたオンライン調査の結果分析を実施した。本課題3)~4)の成果とともに、これらの調査結果について次年度以降に論文投稿の予定とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ヒト胚の取扱いに関する研究テーマについて、所属機関における共同研究とも関連が深い論点が複数あったことから、調査・分析にあたり相互に連携・協力し、助言を得ながら実施することができたため、当初の計画以上に進展させ、初年度から成果報告の機会を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、初年度に調査を十分すすめることのできなかった下記の項目について、現地におけるヒアリング調査を含めた研究を遂行する。 a. 配偶子提供により出生した子の出自を知る権利について、法制度を有する豪州ヴィクトリア州における調査 b. ISSCRの2021年ガイドライン改定による、各国における胚研究に関する規定および議論状況への影響に関する調査 上記他国との比較から、わが国の生命・家族に関する倫理観・価値観に留意しつつ、日本版のルールのあり方を検討することを目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症等の影響により、年度内に渡航・参加を予定していた国際学会が中止となったため、次年度使用額が生じた。 次年度使用額は、2023年度以降の研究計画の遂行にあたり、書籍・物品購入及び渡航調査の旅費に充当し使用する。
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Research Products
(6 results)