2023 Fiscal Year Research-status Report
有権者に対するマスメディア報道の影響力:現代日本における多角的な検証
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22K13320
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金子 智樹 東北大学, 法学研究科, 准教授 (50943487)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 政治コミュニケーション / 日本政治 / マスメディア / 政治学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、現代社会におけるマスメディアの政治報道が有権者に与える影響とその不均質性を、特にオンライン上の政治コミュニケーションに注目し、ネガティブとポジティブの両側面から解明することである。 本年度はまず、日本の有権者のメディア・バイアス認識の実態を探るために独自のインターネット調査データを分析し、その不均質性の構造やメディア接触状況との関連性を解明するに至ったのが大きな成果となった。分析結果は単著の学術論文にまとめ、年度内に出版することができた。 また、本研究課題の核でもある「ポータルサイトの政治ニュースや意見表出の過程」の研究プロジェクトに多角的に取り組んだ。オンライン上の記事やコメントデータを継続的に収集してデータセットを構築し、政治ニュースに対する意見表出が促進される要因として、「集団全体からの評価」が重要であることを時系列的に分析した。また、オンラインニュースの仮想のコメント欄を閲覧するサーベイ実験データを分析し、意見の多数派/少数派が可視化されることで、世論認識や争点態度が変化することを検証した。それぞれの研究成果は複数の学会・研究会にて報告を行い、有益なフィードバックを得た。 以上の複数の分析により、「オンライン上の政治ニュースへの接触が、有権者の政治意識や行動に影響を与える可能性」を、相当程度明らかにすることができ、研究が順調に進展した。 また、国外のマスメディア報道データを用いた大規模な計量テキスト分析の研究、政治態度研究におけるインターネット調査の可能性と特性に関するメタ分析にも意欲的に取り組み、論文出版や学会報告を行った。これらの研究のリサーチクエスチョンは、本研究プロジェクトの主題や分析手法と直接的に重なるものであり、研究課題の遂行に資する知見を発表することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に引き続き、本研究課題の核である「現代の有権者のマスメディア認識・不信の不均質性」「マスメディア報道に対する意見表出の類型と形成過程」「オンライン上の政治ニュースへの接触効果」のそれぞれに関して、データセットの構築と計量分析に多角的に取り組み、それぞれ興味深い知見を得て、研究課題を大いに前進させることができた。複数の学術論文の出版や学会・研究会での研究報告を行い、多くの研究者からフィードバックを得られたのも有益であった。他方で、本年度は全国レベルの国政選挙が実施されなかったため、選挙タイミングに合わせたオンライン・フィールド実験を新たに行うに至らなかった点はやや残念であった。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度・本年度に引き続き、次年度においても研究実施計画の各パートを着実に進めていきたい。 具体的は、まず学会・研究会にて報告を行った有権者調査データの分析をさらにブラッシュアップし、頑健性を高めるために必要に応じて追加の調査も行った上で、査読付きの英文学術誌に投稿することを目指す。 また、オンライン上の政治報道や意見表出のビッグデータの収集・構築を継続するとともに、効率的な機械学習モデルの検討も行い、国際的な学会・研究会での報告を行う段階まで到達したいと考える。 さらに、パイロット調査などの準備を入念に進めた上で、国政選挙のタイミングに合わせたオンライン・フィールド実験を大規模に実施し、外的妥当性と因果推論の両面で画期的な調査データを得ることを目標とする。
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Causes of Carryover |
本年度は、予想されていた衆院選が実施されず、その他の社会状況もふまえ、大規模なオンライン・フィールド実験やインターネット調査を実施するタイミングを調整した。また、ビッグデータ等を収集・保存・分析するためのPCやハードディスクにまだ若干の余裕があり、円安の影響も念頭に、本年度は購入を控えた。さらに、翌年度に国際学会への参加や海外調査を行う計画となったため、高額が見込まれる外国旅費の支出タイミングを調整した。 翌年度は、オンライン・フィールド実験や有権者調査を大規模かつ複数回実施する計画であるほか、データ分析のためのPC周辺機器などの購入を行う予定であり、これまでの研究成果の発表に伴い国内旅費・外国旅費も大きな支出が想定されるため、次年度使用額として計上することにした。
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Research Products
(7 results)