2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22K13327
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井関 竜也 京都大学, 法学研究科, 特定助教 (10913486)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | テクノクラシー / 世論 / 業績評価投票 / アカウンタビリティ / expert cue |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、主に欧州諸国を分析対象として、テクノクラート財務大臣の任用が経済運営・財政政策に対するアカウンタビリティに影響を及ぼすという理論仮説の検証を行った。具体的には、以下の各研究を行い、それぞれが研究成果となっている。(1)第一に、テクノクラート財務大臣が経済運営に対する責任を政権与党と非党派的専門家との間で拡散させ、経済投票を抑制する可能性について検証した。欧州諸国を対象とした国レベルの分析の結果、テクノクラート財務大臣が就任していると経済指標と与党の得票(率)との関係が観察されなくなるという、仮説に適合的な結果が得られた。この成果は、現在日本語の単著論文として査読進行中である。(2)また、経済投票がヴァレンス争点であるのに対して、党派的対立が想定される財政政策についても分析を行った。その結果、テクノクラート財務大臣のもとでは、一般的に不人気とされる緊縮政策が、与党への支持低下につながらないことが発見された。この成果も、現在英語論文としての投稿準備が進んでいる。 これらの成果に加えて、関連する以下の研究成果が得られた。(3)専門家が業績評価投票を阻害するという理論仮説に関連して、日本の有権者を対象に、新型コロナウイルス対策への満足度と与党支持との関係に、専門家の影響力認知が与える影響を分析する研究を行った。この成果も、現在英語共著論文として査読進行中である。(4)また、同じく日本の有権者を対象に、憲法学者の発言が安保政策に対する支持に与える影響を検証するサーベイ実験を行った。この成果についても、英語共著論文として査読進行中である。
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