2022 Fiscal Year Research-status Report
欧州でのアカウンタビリティとメディアの動態的関係:質的比較分析の拡張を通じて
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22K13329
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
新川 匠郎 神戸大学, 国際文化学研究科, 講師 (60802486)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 質的比較分析(QCA) / 比較政治学 / 欧州研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は欧州におけるメディアシステムの収れんと分岐について政治制度の配置構成とその変化から問うものである。本年度は、その時間的変化パターンを分析するために用いる質的比較分析(QCA)の方法論的な検討を進めている。QCAは複数条件の組み合わせ(配置構成)を網羅的に扱い、その必要条件性や十分条件性をブール代数や集合論を基に把握する、従来とは位相の異なる分析手法として注目を浴びている。ただしQCAは各事例の質的特徴(配置構成)を体系的に他の事例と比較することを念頭に方法論的な開発が進んでおり、事例内の時間的変化を捉える手法として開発が進んでいない。そのため従来のQCAでは、本研究が対象とする欧州諸国の比較における、「各国内で時間的な変動のある条件」と「各国内では変化しないが国別で違いのある条件」の二種類の条件を切り分けられないという難点があった。この問題を踏まえて、複数条件および結果の2時点の差分を取り、時間的変化条件およびその配置構成に注目するTime-differencing QCAの開発を進めている。この差分をとることで得られる特徴について、2022年10月にオランダで行われたQCAと時間に関するワークショップ(Time-in-QCA (TiQ) International Workshop)で研究報告を行い、フィードバックを受けた。また差分をとって変化を観測する際のファジィな特徴をいかに反映させるかについて、2022年12月にはスイスで行われたQCAの専門家のワークショップ(International QCA Expert Workshop)で研究報告を行っている。これらワークショップで時間的変化を捉える分析手法Time-differencing QCAを検討してきたことは、本研究で取り組むメディアシステムの収れんと分岐のパターンを捉える分析の土台作りと位置付けられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は欧州での研究滞在が難しく、メディアシステムの分析に向けた文献・資料・データは専ら国内での収集に留まった。しかし質的比較分析(QCA)を使う方法論的な検討について、Time-in-QCA (TiQ) International WorkshopおよびInternational QCA Expert Workshopで報告機会を得られたことは研究の進展にとって重要であった。そのため、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は欧州での研究滞在も視野に入れて、現地での文献・資料・データ収集に注力する。他方で2022年度に質的比較分析(QCA)のワークショップで得られたフィードバックを基に、本研究でのメディアシステム比較における応用の仕方を検討する。
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Causes of Carryover |
2022年度において欧州での研究滞在が難しかったことに起因する。2023年度は現地での資料等の収集を行う際に充当する。
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