2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K13341
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
安中 進 弘前大学, 人文社会科学部, 助教 (80880202)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 生活保護 / リーマン・ショック / コロナ禍 / サーヴェイ実験 / パネルデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題の実施中に所属先の変更があったが、生活保護に関する観察データの分析では、データ収集や整理を行ってもらうアシスタントを新たに確保し、データ収集と整理が最終段階に達している。さらに、現在は都道府県・政令指定都市レベルのデータを収集しているが、市町村レベルのデータ入手も試みており、すでに厚労省とコンタクトをとっている。現在市町村レベルでの保護率の大きな変化がメディアでも取り沙汰されており、都道府県よりも細かなレベルでの分析が喫緊の課題としてあると思われるからである。 2024年3月に国立社会保障・人口問題研究所より招かれ、主にCOVID-19の統計的問題に関して、「統計データを通して見る政治体制の差異」と題する報告を行ったが、同研究所は、官公庁から公表されるデータや分析に関する豊富な知見の蓄積があり、同研究所員との新たなコネクションを得て生活保護に関連した意見交換を行ったのも本研究にとって重要な成果であるといえる。 また、生活保護に対する人々の態度を分析する実験に関しても複数回の打ち合わせを行い、質問文等が概ね確定し、実験実施の直前段階にある。調査に必要なアンケートの入力もほぼ終了しており、最終年度の早い段階で倫理審査を申請し、さらに質問文の事前登録(preregistration)を行い、実験実施に備える。生活保護に関する世論の実験研究は、ほぼ日本で行われていないようであり、誤解も多い同制度に対する人々の意識を詳しく分析する必要性がある。 上述のように、本課題は観察データを用いた研究と実験を用いた研究の双方で進展があり、さらなる成果への土台が整ったといえる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
観察データの進捗に関しては、所属先の移動の影響を受けて、データ収集作業に当たってもらうアシスタントを新たに探さざるを得なくなったが、速やかに複数人を確保し、その後はデータ収集と整理が順調に進んでいる。 実験実施に関しても移動の影響で一時的な遅れが生じたが、現在は概ね準備が完了しており、最終年度での実施と分析を予定している。 こうした状況から考えると、本課題は比較的順調に進んでいると思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
生活保護に関する観察データの分析は、データ収集と整理が最終段階に達している。今後は本年度の早い段階で分析を進める予定である。さらに、それと同時に、現在は都道府県・政令指定都市レベルのデータを収集しているが、市町村レベルのデータ入手も試みており、より詳細な分析を可能にする準備を進めている。実験に関しても質問文等が決定し、実験実施の準備段階にある。最終年度の早い段階で倫理審査を申請し、さらに質問文の事前登録(preregistration)を行い、実験実施に備える。
|
Causes of Carryover |
所属先の異動に伴いデータの収集と分析を行ってもらうアシスタントを新たに確保する必要が生じたが、当初予定よりも確保に時間がかかったため謝金の支払いが生じなかった期間が発生し、次年度使用が生じた。この次年度使用額は2024年度配分額と併せて謝金の支払いに使用する予定である。 また、当初2023年度に予定していた実験実施も事前準備に想定以上の時間を要し2024年度にずれ込んだことも要因である。
|