2023 Fiscal Year Research-status Report
Sustainability of Cryptocurrency Bubbles
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22K13366
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩崎 康平 大阪大学, 社会経済研究所, 講師 (10936876)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 暗号通貨 / バブル / マイニング / 精緻化 / 流動性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度においては、これまでに得られた結果がより一般的に成り立つかを検証した。本研究では、暗号通貨バブルが続くのかどうかという問いに答えるため、均衡の精緻化の概念を提案している。その精緻化の概念では、人々がマイニングに投入されたコンピュータの計算量の総量を観察することにより、暗号通貨の価値に関する信念の改訂を行う。マイニングにコンピュータの計算量を投入するということは、それだけ電気代などのコストがかかる。したがって、観察された計算量が大きければ、それだけ人々が暗号通貨の価値が高いと信じていることになる。これまでは、ある特定の信念の改訂の仕方を考えていたが、より一般的な改訂の仕方でも、同様の結果が得られることを示した。
また、これまでの研究では、暗号通貨が支払い手段としか使用される経済をモデル化し、分析を行っていた。しかし実際には、暗号通貨が支払い手段として使用されることは稀である。例えば日本円は、交換の媒体として広く用いられている。財もしくはサービスを購入する際に、私たちは日本円を支払い手段として使用できるという意味で、日本円は直接的な流動性を持つ。このような直接的な流動性を持っていなくても、暗号通貨は直接的な流動性を持つ貨幣と市場で交換されており、この意味において間接的に流動性を持っている。そのような間接的な流動性を持つ貨幣のモデルを構築し、暗号通貨が間接的な流動性しか持たない場合でも、価値を持ちうることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに得られた結果の一般化を達成し、新たなモデルの分析を開始できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
マイニングを使用しない暗号通貨に関する分析はまだ行えていないので、今までに得られた結果をそのような通貨の観点から検討する。また、間接的な流動性を持つ貨幣の研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
2023年度においては、研究発表を行える機会が想定よりも少なく、またコンピュータの購入を2024年度に行うことにしたため、次年度使用額が発生した。2024年度においては、できるだけ多くの研究発表を行うとともに、コンピュータを購入し、次年度使用額を使用する。
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