2023 Fiscal Year Research-status Report
被災リスクの開示およびそれに伴う地価変動と居住地選択に関する実証分析
Project/Area Number |
22K13385
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
芝 啓太 九州産業大学, 経済学部, 講師 (00848799)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 地価 / 原子力発電所 / 東日本大震災 / ヘドニック分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では被災リスクの開示に伴う地価変動が、人々の居住地選好に与える影響について明らかにする。対象地域を九州地方の2つの原子力発電所、川内原子力発電所(鹿児島県薩摩川内市)、玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)に定めた。その理由として、これらの地域では東日本大震災の影響がほとんどなかったこと、原子力発電所の稼働停止と再稼働の両方の時期を観測できること(両原発は東日本大震災後に稼働を停止し、その後全国で最も早く再稼働した)、本学が契約する西日本新聞データベースで、対象地域の過去の詳細な出来事を検索、閲覧できること、などが挙げられる。昨年度収集した地価データを用いて、九州地方の原子力発電所周辺の地価が、東日本大震災後にどう変化したかを分析する。原子力発電所の立地をマッピングし、各地点までの距離を計算した。そして、原子力災害重点避難区域(半径30km)と、福島第一事故のヘリモニタリングによる線量調査(半径80km)を参考に2種類のバッファーを作成した。また、西日本新聞アーカイブを利用して、鹿児島県、佐賀県で行われた原子力発電所再稼働をめぐる地域の出来事を時系列順にまとめあげた。同時に、知事選や国政選挙の時期も列挙し、地価に影響を与えた可能性のある事象として記録した。現在、記述統計分析では、震災後に原発周辺地価が低下していることがわかった。応用地域学会で報告し、各所から適切なコメントを頂いた。これが原発周辺のみで発生した現象であるかどうかについて、次年度に計量分析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
被災リスクと地価との関係性について分析を進め、論文にまとめる。
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Causes of Carryover |
論文投稿が遅れているため、予定していた英文校正費、投稿料の支出を延期した。
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