2022 Fiscal Year Research-status Report
Study on strategic alliances between airports and airlines
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22K13389
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
角田 侑史 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (00846404)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 航空 / 空港 / 戦略的提携 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、近年増えつつある、空港と航空会社の戦略的提携が、提携外の航空会社や競合する空港を含む航空輸送市場全体に及ぼす影響を明らかにすることを目的としている。空港と航空会社の垂直的な提携は、空港の運営主体の変化の過程で発展したもので比較的歴史が浅い。そのため、この提携を分析する研究蓄積は限られており、その多くは提携する空港と航空会社に焦点を置き、提携外の主体に対する影響は目を瞑る傾向があった。本研究課題は、提携外の主体にまで分析範囲を広げ、航空輸送システム全体に対する影響を掘り下げているという特色を持つ。 研究課題の1年目である2022年度は、交付申請書に基づき、空港と収益シェア提携をする既存航空会社が、新規航空会社の参入の脅威に直面し、参入阻止のための戦略的な意思決定をする状況をモデル化し分析した。結果として、空港と既存航空会社の提携は、既存航空会社の市場支配力を強化し、参入阻止行動が実現する可能性があるが、提携のシェア率が高い場合には、参入阻止のインセンティブが低下し、社会厚生が向上することを示している。この研究は、国際学術誌に受理され、掲載された。また、関連する研究として、提携外の主体として高速鉄道など航空会社以外の経済主体を導入したモデルの分析や、空港と航空会社が一体となって実施する必要がある環境問題への取り組みに関する分析を実施した。その一部は国内学術誌に受理され、掲載されており、またその他の分析は、国際学術誌に投稿している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、「研究実績の概要」で記したとおり、空港と航空会社の戦略的提携が、既存航空会社の参入阻止行動に及ぼす影響を分析し、その結果を論文としてまとめ、国際学術誌に受理された。以上の客観的な研究成果から、「(2) おおむね順調に進展している」と判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題では、これまで国際学術誌への論文掲載をはじめとして、研究計画に沿った研究の進展が見られている。空港と航空会社の戦略的な提携についての新たな知見を得るため、さらなる数理モデルの構築を継続する。研究から得られる成果はこれまでと同様に、主に英文で論文を執筆し、国際学術誌への投稿・掲載を進め、内外へ向けた研究成果の発信を継続する。
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