2023 Fiscal Year Research-status Report
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22K13424
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Research Institution | Aichi Shukutoku University |
Principal Investigator |
鈴木 崇文 愛知淑徳大学, ビジネス学部, 准教授 (40880430)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 企業立地 / 企業誘致 / 補助金 / 租税特別措置 / 地方財政 / 企業間取引 / サプライチェーン |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の2年目にあたる2023年度においては、主には次の2点に関する作業を進めた。すなわち、(1)前年度に完了できなかった企業誘致政策の情報を分析可能なデータに要約する作業を完了させ、誘致政策の自治体間競争関係についての分析を進めること、(2)政府統計および民間調査会社の企業の個票データを活用し、立地政策や企業立地が地域経済に与える影響に関する分析を進めること、である。 (1)については、研究協力者を雇用することで作業を進めることができた。作成したデータを用いた分析からは、自治体の実施する企業誘致政策が地域的に偏在しており、近隣自治体との空間的な相関が生じていることを明らかにした。以上の分析については、観測年度を増やすなどの追加分析を行い、結果の頑健性を担保した上で学術雑誌への投稿を行う予定である。また、(2)については、データセット整備を行い、分析に取り掛かっている。具体的には、「工業統計調査」、「企業活動基本調査」および「東京商工リサーチ 企業情報・相関データ」を接合したデータセットを作成するとともに、近隣企業への影響を分析するうえで重要な指標であると考えられる生産性の推定などを実施した。最終年度においても引き続き作業を進め、立地政策や企業立地が地域経済に与える影響を定量化したい。 なお、2年目の主な成果としては、企業に対する租税特別措置に関する効果の検証に関する論文”Windfalls? Costs and Benefits of Investment Tax Incentives due to Financial Constraints”を海外誌に出版した。また、国際財政学会等において、過疎地域に対する経済振興策が企業立地等の地域経済に与える影響について分析した論文” Does Place-based Policy Work in Rural Areas? Causal Evidence from Japan”を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度完了しなかった、各自治体の企業誘致施策を分析可能なデータに加工する作業については完了し、関連する基本的な分析も実施することができた。企業立地がサプライチェーンを通じて地域経済に与える影響に関する分析については、データセットの作成を引き続き進め、最終年度の早い段階で完了させたい。
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Strategy for Future Research Activity |
記述の通り、自治体の企業誘致政策の情報を用いた分析では、より結果の信頼度を高めるための追加分析や理論的な議論を加えるなど、論文としての完成度を高める予定である。また、「工業統計調査」、「企業活動基本調査」、「東京商工リサーチ 企業情報・相関データ」などの企業の個票データを用いた、地域経済に与える影響に関する分析では、早急にデータセットを完成させ、推定作業とそのとりまとめ作業を実施する予定である。特に、個社レベルでの企業立地情報の整理作業に現在時間を要しているため、研究協力者を積極的に雇用して作業の進度を上げたいと考えている。
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Causes of Carryover |
論文報告を計画していた国際学会への投稿が遅れたため、年度内での執行ができず次年度使用額が生じた。差額については、当該目的として次年度に執行予定である。 次年度の研究費の使用計画については、現在以下を計画している。まず人件費については、別の研究費の目途がついたため、本研究費からの支出は行わない予定である。したがって基本的には、作成した論文の校正等への費用および、成果報告のための旅費等に使用する計画である。
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