2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K13442
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
松原 日出人 中京大学, 経営学部, 准教授 (20779582)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 産地 / 経営史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,大きくは,1970年代以降の需要縮小と産地の展開の解明をテーマとし,産地間の展開の成否の差を議論するものである。本研究が具体的に取り上げるのは戦後の柑橘産地であり,研究代表者がこれまで蓄積してきた戦後の柑橘産地研究の体系化を進める。研究課題は2つに大別され,①1970年代以降の産地の展開に影響を及ぼした先駆事例である田浦産地(熊本県)の歴史分析と,②1970年代~1980年代における貿易自由化交渉に対する各産地の現場対応の実態の検証である。令和4年度に取り組むこととしていたのが上記①の研究課題であり,既に着手している資料収集と基本的な分析を基礎としつつ,主に追加的な資料収集と分析を行った。具体的には,第1に,田浦産地の1950年代~1980年代における展開を他産地や市場との相互作用を視野に入れながら明らかにすることを目的として,他産地および関連機関の機関誌の収集を当該年代のものを中心に収集し,当初想定した以上の数の資料を確認できた。第2に,田浦産地が先駆的な銘柄産地の1つとして1970年代以降の産地再編のなかで注目されたのみならず,田浦産地による甘夏市場の創出および成功それ自体が,その後の他産地の品目・品種に係る意思決定を加速させたという面においても業界にインパクトを与えたことを確認した。第3に,上記で述べた資料数や現象の複雑さにより,分析および論文執筆がやや後ずれしたものの,令和5年度以降に予定していた課題②に関連する資料収集も一部先行して着手できたため,総合的にいえばほぼ計画通りに進展した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記で述べたとおり,資料数や現象の複雑さにより,分析および論文執筆がやや後ずれしているものの,令和5年度以降に予定していた課題②に関連する資料収集も一部先行して着手できたため,総合的にいえばおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
まず,田浦産地の展開の解明という本研究の1つ目の課題に関し,原稿執筆をすすめる。加えて,2つ目の課題である,1970年代~1980年代における貿易自由化交渉に対する各産地の現場対応の実態の検証に着手する。この課題については,令和5年度・6年度にわたって取り組むこととしている。先述のとおり既に資料収集に部分的に着手しているが,令和5年度中に特にこの課題に関連する資料収集を重点的に行う。
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